2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞におけるCdk5/p35の活用戦略とシグナル伝達抑制因子としての役割
Project Area | Cell Proliferation Control |
Project/Area Number |
19057007
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
久永 眞市 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 教授 (20181092)
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Keywords | 脳・神経 / 酵素 / シグナル伝達 / タンパク質 / リン酸化 / Cdk5 / p35 |
Research Abstract |
Cdk5はサイクリン依存性キナーゼ(Cdk)群の一つでありながら、最終分化した神経細胞で機能する特異なCdkである。活性化サブユニットp35のカルパインによるp25への限定分解はCdk5の異常活性化、そして、神経細胞死を引き起こす。それにも関わらず、神経細胞はCdk5活性を発現、活用している。本研究ではCdk5の(1)細胞内局在の制御機構について、(2)Cdk5によるタウのリン酸化とミトコンドリアの軸索輸送制御についての研究をおこなった。 (1)Cdk5は他のCdkと異なり、神経細胞の細胞質の膜オルガネラに結合して存在している。それは活性化サブユニットp35がミリストイル化されているからである。しかし、最近は核内にも存在し、転写制御などをしているとも報告されている。Cdk5-p35の細胞質と核内局在の仕組みを調べたところ、Cdk5活性そのものがCdk5を細胞質に停めておく役割を果たしていることが判った。Cdk5にはp35に加えて、機能不明なp39という活性化サブユニットも存在する。Cdk5-p39も同様な仕組みで細胞質と核局在が制御されていた。ただし、Cdk5-p39はCdk5-p35よりも核内に存在する割合が多く、核内で主に働いているCdk5ではないかと考えられた。 (2)アルツハイマー病ではタウの高リン酸化が見られる。高リン酸化をもたらすキナーゼの一つがCdk5である。一方、アルツハイマー病ではミトコンドリアの輸送障害も報告されている。タウはミトコンドリア輸送を阻害することが知られている。しかし、リン酸化がどのような役割を果たしているかは全く研究されていなかった。タウのアルツハイマー病リン酸化部位であるAT8部位の疑似リン酸化型タウを作成し、神経細胞内に高発現させたところ、リン酸化型依存的にミトコンドリアの輸送を阻害した。
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Research Products
(6 results)