2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Cell Proliferation Control |
Project/Area Number |
19057008
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
広田 亨 Japanese Foundation For Cancer Research, 癌研究所実験病理部, 部長 (50421368)
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Keywords | 細胞分裂 / リン酸化 / Aurora B / セントロメア / 染色体分配 / 微小管 |
Research Abstract |
ヒトの細胞において、染色体および紡錘体を構成する分子群が、これらのM期キナーゼによってどのように制御されているのかを生化学的・顕微鏡的手法によって明確にすることが、本研究の目的である。本年度はM期キナーゼの中でもAurora Bの役割に関する研究を特に進めた。Aurora BはヒストンH3とHP1αをリン酸化してクロマチンから解離させることを報告したが(Hirota et al., 2005)、引き続いて、分裂期における解離したHP1αの動態を調べた。先ず、HP1αはM期特異的にAurora Bによってリン酸化を受けることと、リン酸化サイトの一つがSer92であることが分かった。リン酸化HP1αの大部分は細胞質に存在したが、興味深いことに一部のリン酸化HP1αはAurora B/染色体パッセンジャー複合体(CPC)と相互作用し、その結果セントロメアに局在することが、免疫沈降法や免疫染色法によって判明した。さらにHP1αとAurora Bの結合はHP1αSer92のリン酸化によって安定化することをFRAP解析で示した。セントロメアにおけるHP1αとAurora Bの相互作用の意義をノックダウン実験あるいは種々の変異体の補完実験を行って検討したところ、この相互作用はメロテリック結合(一つの動原体に両極から延びた微小管が結合)という動原体における微小管の誤接続を防ぐという役割を担っていることを明らかにした。つまり、Aurora Bは、HP1αをセントロメアに引き込むことによって、微小管の誤接続を防ぎ、染色体の不均等分配を未然に防ぐことによって、染色体の安定した分配を保証していると言える(Takagaki et al.in preparation)。
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