2011 Fiscal Year Annual Research Report
発生過程における細胞増殖の停止機構および細胞分化との相互作用の解析
Project Area | Cell Proliferation Control |
Project/Area Number |
19057011
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
竹内 隆 鳥取大学, 医学部, 教授 (70197268)
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Keywords | 発生・分化 / 細胞増殖 / 心筋細胞 / 形態形成 / 分子遺伝学 / マウス |
Research Abstract |
哺乳類の心筋細胞は、胎児期には活発に増殖するが、生後に増殖停止してからその後、二度と増殖しない。その機構を探るため、胎児期から生後にかけて減少する細胞周期進行蛋白質、サイクリンD1を任意の時期に心筋細胞で発現誘導できるマウスおよび細胞周期進行を抑制するCDK阻害蛋白質のノックアウトマウスなどを用いて研究を進めてきた。本年度では、以下を明らかにした。(1)サイクリンD1発現誘導により半数近くの成体心筋細胞が細胞周期に進入する。しかし、二核細胞はG2期(4C)で停止、単核細胞は多倍化し、G2期(8C)で停止する。(2)M期進行を司るサイクリンB1-CDK1活性がほとんど検出されない。(3)CDK1の活性化には不活性型リン酸化修飾が除去される必要があるが、それが起こっていない。(4)その不活性型リン酸化修飾を除去するcdc25の発現が起こらない。これらの結果から、成体心筋細胞の増殖停止機構の原因としてサイクリンD1とcdc25の発現阻害が考えられた。現在、サイクリンD1とともにcdc25を発現誘導できるトランスジェニックマウスで検証中である。これらの研究に加え、哺乳類とは異なり、心筋細胞が再増殖し、心臓再生が可能であるイモリに注目し、成熟が速いイベリヤトゲイモリを導入することで、これまで不可能であったで分子遺伝学的実験系の構築に成功した。具体的には大量繁殖、体外受精、トランスジェニック個体の作出等である。これらマウスとイモリの解析系を相互比較しながら発展させ、心筋細胞の増殖停止機構を明らかにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス成体心筋細胞の増殖停止機構の根幹を明らかにできた。また、イモリの分子遺伝学実験系の構築に成功し、マウスとイモリとを個体レベルで同等に比較する土台ができた。以上の重要な成果により判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
哺乳類成体心筋細胞の増殖停止維持機構、およびイモリとの違いの分子機構を理解するために、以下を行なう。 (1)サイクリンD1とcdc25の発現で細胞周期はどこまで進行するかを明らかにする。 (2)サイクリンD1とcdc25の発現が成体では阻害される機構を明らかにする。 (3)イモリで(2)の機構を比較し、マウスとイモリの違いを明らかにする。 この際、イモリにマウスの機構を分子遺伝学で導入し、心筋細胞の増殖再開が起こらなくなる、また、逆にマウスにイモリの機構を導入し、心筋細胞の増殖再開が起こることを示す。
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Research Products
(20 results)