2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Protein community: organization and maintenance of protein functions |
Project/Area Number |
19058009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 和俊 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (70182194)
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Keywords | 小胞体 / 転写 / 分子シャペロン / 脂質 / オルガネラ / スプライシング / プロテアソーム / 分解 |
Research Abstract |
異常タンパク質応答UPRは、小胞体に高次構造の異常なタンパク質が蓄積すると活性化され、小胞体シャペロンや小胞体関連分解構成因子を転写誘導することによって、小胞体の恒常性を維持する。さらに、小胞体膜の主要成分であるリン脂質の合成にも関与し、タンパク質の品質管理とオルガネラ形成の接点となっている。UPRは哺乳動物では、IRE1・PERK・ATF6の3つの経路から成り立っている。 IRE1経路の下流の転写因子XBP1はmRNAスプライシングにより制御され、スプライス後の成熟型mRNAから翻訳される活性型のpXBP1(S)が、スプライス前の前駆体mRNAから翻訳されるpXBP1(U)によって負に制御されていることを以前報告している。そこで、小胞体ストレスによって活性化される他の転写因子への影響を調べた結果、pXBP1(U)はATF6経路のpATF6(N)には負に作用し、プロテアソームによる分解に回すが、PERK路のATF4には全く作用しないことを見いだした。ATF4は小胞体ストレス以外の刺激によっても活性化されることが知られており、pXBP1(U)は小胞体における品質管理に関与するタンパク質の転写制御にかかわる転写因子のみ[すなわちpATF6(N)とpXBP1(S)のみ]を制御していることを明らかにすることができた。このことは、小胞体ストレス応答のさらなる厳密性を明示している。 生体膜合成におけるUPRの役割を解析するために、Neraらの論文(Immunity, 24, 283-293, 2006)に注目し、ニワトリB細胞由来のDT40細胞でPax5遺伝子を破壊すると、報告通り、抗体産生量が飛躍的に増加し、小胞体が拡充することを見いだした。DT40細胞は例外的に遺伝子相同組換の頻度が高いことが知られているユニークな細胞であり、この系をうまく活用すると、解析の大きな武器になると考えられた。
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Research Products
(4 results)