2009 Fiscal Year Annual Research Report
茎頂及び根端メリステム新生の共通基盤となる細胞増殖統御系
Project Area | Plant regulatory systems that control developmental interactions between meristems and lateral organs |
Project/Area Number |
19060001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 宗隆 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (50202130)
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Keywords | 温度感受性突然変異体 / 細胞増殖 / シロイヌナズナ / 側根 / メリステム |
Research Abstract |
側根形成過程では、活発な細胞分裂によって原基が発達した後、分裂が休止する段階を経て、メリステムの活動が始まる。シロイヌナズナの温度感受性変異体srd2およびrid1の場合、制限温度下ではこの切り替えがうまく進行せず、統制を欠いた細胞分裂が持続する。srd2の側根形成を詳細に調べた結果、snRNAの欠乏がオーキシン排出キャリア遺伝子PIN1の発現低下を引き起こして、極性軸の確立を妨げ、細胞増殖制御を乱すことがわかった。これはオーキシン極性輸送の制御がプレmRNAスプライシング能力に依存することを示唆するもので、これまでにない知見と言える。 rRNAプロセッシングに欠陥があり、脱分化や細胞増殖活性化が温度感受性を示すrid2変異体から、制限温度下でのカルス形成を指標に抑圧変異体rid2 sriw1を単離した。興味深いことに、sriw1変異はrid2だけでなく、srd2やrid1のカルス形成の温度感受性も抑圧し、さらにsrd2とrid1の側根形態形成異常(メリステム形成不全)に関してもsriw1による抑圧が認められた。ポジショナルクローニングによりSRIW1遺伝子を同定し、NACファミリー転写因子のANAC082をコードしていることを突き止めた。これらの結果より、植物細胞の増殖制御システムにおいて、ANAC082はきわめて重要な位置を占めていると推測された。 以上のほか、メリステム形成に関し特徴的な異常を示すrid3、rid4、rrd1、rrd2など各種温度感受性変異体の解析を進め、各変異体の責任遺伝子がメリステム新生に際してどのような細胞増殖統御に関与するかを明らかにした。
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Research Products
(13 results)