2010 Fiscal Year Annual Research Report
茎頂及び根端メリステム新生の共通基盤となる細胞増殖統御系
Project Area | Plant regulatory systems that control developmental interactions between meristems and lateral organs |
Project/Area Number |
19060001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 宗隆 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (50202130)
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Keywords | 温度感受性突然変異体 / 細胞増殖 / シロイヌナズナ / 側根 / メリステム / RNA代謝 |
Research Abstract |
メリステム新生に関わるシロイヌナズナの各種温度感受性突然変異体を用いて解析を進め、以下の結果を得た。 rid2はrRNAの生合成に欠陥をもつ変異体で、sriw1はrid2の表現型を回復させることを指標に単離した抑圧変異体である。sriw1変異は、snRNA転写活性化因子の変異体srd2に導入した場合にも、脱分化やメリステム新生の温度感受性に関し抑圧効果を発揮した。分子遺伝学的解析により、sriw1変異体の抑圧能がNACファミリー転写因子ANAC082の機能欠損に起因することを突き止めた。srd2やrid2に関するこれまでの解析結果とsriw1の解析結果に基づき、脱分化やメリステム新生に際してプレmRNAスプライシング、rRNA生合成といった基本的なRNAプロセッシングの能力が拡大し、ANACO82はこの能力をチェックして細胞増殖を負に調節している、という仮説を立てた。 rrd1、rrd2、rid4は、制限温度下で帯化根を形成するという特徴を共有する。責任遺伝子のRRD1はポリA特異的リボヌクレアーゼ様タンパク質、RRD2とRID4はペンタトリコペプチドタンパク質をコードしていることが分かっている。rrd1の帯化根形成に関して、マイクロアレイ解析を行った結果、呼吸鎖電子伝達系のミトコンドリア遺伝子の転写物が著しく増えていることが明らかになった。また、RRD1とRID4については、予備的解析から、根端メリステムや側根原基で発現し、ミトコンドリアに局在することが示唆された。表現型の類似、二重変異体の合成致死性なども考え合わせて、RRD1とRID4は(おそらくRRD2も)協力してミトコンドリアmRNAのポリA依存的な分解に働き、それを通して原基の細胞分裂域を制限していると推定した。
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Research Products
(18 results)