2012 Fiscal Year Annual Research Report
茎頂及び根端メリステム新生の共通基盤となる細胞増殖統御系
Project Area | Plant regulatory systems that control developmental interactions between meristems and lateral organs |
Project/Area Number |
19060001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 宗隆 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (50202130)
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Project Period (FY) |
2007-07-25 – 2013-03-31
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Keywords | 温度感受性突然変異体 / 細胞増殖 / シロイヌナズナ / 数理モデル / 先端成長 / 側根 / メリステム / RNA代謝 |
Research Abstract |
本研究では、シロイヌナズナの各種温度感受性突然変異体を用いて、メリステム新生の共通基盤となる細胞増殖統御系を追究してきた。また、細胞増殖統御がもたらすメリステムの先端成長パターンについて、数理モデルを用いた解析も行った。本年度は、制限温度下で帯化側根を形成するrrd1、rrd2、rid4(temperature-dependent fasciationにちなみTDF変異体と総称)の解析、メリステム形成と脱分化の両方が強い温度感受性を示すrid1の解析、先端成長の数理モデル解析で以下の進展があった。 TDF変異体の責任遺伝子は、RRD1がポリA特異的リボヌクレアーゼ様タンパク質、RRD2とRID4がPPRタンパク質をコードしている。昨年度までの変異体の解析から、これらはいずれもミトコンドリアmRNA代謝に関与し、呼吸活性の調節を通して不等細胞分裂の停止にはたらくことが示唆されていた。これと符合して、RRD1とRID4がミトコンドリア周在であることを示す結果も得ていたが、さらによく調べると、一部は色素体に存在することが判明した。RRD2は、ミトコンドリアのみに局在することが示された。また、rrd2変異とrid4変異が、ミトコンドリアの特定のmRNA編集に影響することを見出した。 RIDIについては、出芽酵母Prp22との類似から、プレmRNAスプライシングへの関与が推定されていた。RIDIの導入・発現は酵母のprp22変異株を相補できなかったが、イントロン除去効率に対するrid1変異の影響を調べることで、この推定が正しいことを実証した。 根端成長に対する温度の影響を細胞動力学的方法によって調べ、得られたデータから数理モデルを用いて成長の各側面のコストを見積もった。その結果、生育温度が22℃を下回ると、増殖コストと体積増大コストがともに大きく低下することなどが示唆された。
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Research Products
(20 results)