2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Plant regulatory systems that control developmental interactions between meristems and lateral organs |
Project/Area Number |
19060010
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
松林 嘉克 基礎生物学研究所, 分子遺伝学研究部門, 教授 (00313974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 秀文 基礎生物学研究所, 分子遺伝学研究部門, 助教 (40547022)
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Keywords | 分泌型ペプチド / 受容体キナーゼ / 細胞間情報伝達 / 翻訳後修飾 / リガンド-受容体相互作用 |
Research Abstract |
ペプチドホルモンの翻訳後修飾のひとつであるチロシン硫酸化酵素(TPST)遺伝子を破壊したシロイヌナズナ植物体(tpst-1)では,根端の幹細胞が維持されず,根が極端に短くなる.この表現型は,既知のチロシン硫酸化ペプチドホルモンの培地への添加では回復できなかったことから,新しい硫酸化ペプチドホルモンの存在を強く示唆していた.我々は,既知のチロシン硫酸化ペプチドの硫酸化モチーフ配列を参考にしたin silico遺伝子スクリーニングとnano LC-MSを用いた成熟型ペプチド構造解析,および合成ペプチドとチロシン硫酸化酵素破壊株tpst-1を用いた回復実験によって,根端メリステム幹細胞ニッチの維持およびメリステム活性の制御に関与する新規硫酸化ペプチド群(root meristem growth factors : RGFs)を見出した.9種類あるRGFペプチドファミリーの少なくとも4種類はQCとコルメラ幹細胞および最内層のコルメラ細胞を中心に発現しており,分泌されたペプチドは幹細胞領域からメリステム領域にかけて組織内を拡散していた.RGF遺伝子群の単独破壊株では表現型が表われないが,3重破壊株rgf1rgf2rgf3は,根端メリステム領域がかなり縮小する表現型を示した.またRGFは,根の幹細胞維持および細胞分裂活性の制御に中心的な役割を担う転写因子,PLETHORA (PLT)の発現を主として転写後レベルで制御していることも明らかになった.我々は,根端におけるRGFの拡散分布のパターンが,PLTの局在とよく一致することから,細胞外に分泌されたRGFがPLTの発現調節を介して根の幹細胞の維持や細胞分裂活性を制御していると考えている.
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