2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | New Materials Science on Nanoscale Structures and Functions of Crystal Defect Cores |
Project/Area Number |
19H05790
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
遊佐 斉 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (10343865)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 正 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20218457)
宮川 仁 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (40552667)
川村 史朗 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (80448092)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
|
Keywords | 高温高圧合成プロセス / 大容量ベルト型装置 / ダイヤモンドアンビルセル / 高圧パルス通電焼結法 / 粒界制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
高圧下で複分解反応を用いることによって多元系窒化物半導体を探索し、既知材料であるZnSnN2と加えてII-Sn-N2系 (II:Mg, Ca, Zn)という新規半導体系列を生み出すことに成功した。その結果、高圧下ではイオン性の強いMgSnN2, CaSnN2は岩塩型もしくは層状岩塩型構造が安定的に晶出する一方、大気圧下ではMgSnN2、CaSnN2は共にZnSnN2と同じくウルツ鉱型構造が安定であることを薄膜合成や第一原理計算の結果とともに導き出した。 高圧装置への導入が計画されていたSPS電源の導入・立ち上げを行った。SPS電源は、ONOFF制御に加え、極性反転するという、これまで導入実績のない新しいタイプを選択した。プログラム作成し、油圧、ストローク、ヒーター電流・電圧等、装置の状態をPCにより自動計測できるように環境を整備し、圧力校正を幾つかの種類の高圧セルに対して行い、0.5~7.7 GPaの圧力領域での較正を確立した。 遷移金属―メタロイド系化合物において、新規化合物であるMoSi2型CrGe2の擬ギャップ電子構造を明らかにするとともに、新しいChimney-Ladder化合物であるCrGe1.77を発見した。これらの新規化合物の結晶構造を詳細に調査し、Ge欠陥の視点からMoSi2型構造とChimney-Ladder構造との関係について解明した。金属窒化物研究では,U2S3型Nb2N3を発見し、圧縮特性のみならず、金属多窒化物では初めて熱膨張特性を明らかにした。さらに、直方晶Sn3N4を発見し超ナローギャップ半導体であることを明らかにした。 新たな希土類多ホウ化物として、PrB12とCeB12の高温高圧合成に成功した。大きな軽希土類元素を24配位ホウ素ケージに導入することに高圧は有効であることが示され、CeB12においては価数揺動も確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今まで、高圧下複分解反応で各種多元系ウルツァイト型窒化物半導体合成に成功してきており、さらに多元素化を考え、四元系窒化物半導体の合成に取り組んでいる。I-III-VI2-N4、もしくはII2-III-V-N2組成で最適な元素選択を進めた結果、LiAlGe2N4、LiGaGe2N4が有望な候補として見つかっている。さらに、新規硫化物半導体合成にも取り組んでおり、BaS-SnS混晶系は組成によって広くバンドギャップを制御可能であること、吸収係数が大きいことを見出しており、環境調和型の新規太陽電池材料として期待できる。現在、電気伝導制御に向けて結晶欠陥制御に取り組んでいる。 装置の高度化としては、超高圧SPS装置環境が構築出来たため、デモンストレーションとして、AlNで高圧力下SPS焼結できる事を確認した。なお、電源のシーケンサーに修正点が残っているが、5月内に修正される予定のため、許容範囲内のトラブルであり問題はない。 また、均一反応用急冷凝固装置と超高圧高温発生装置を組み合わせた新しい高圧合成プロセスを開発して、遷移金属―メタロイド系化合物の新物質創製に適用し新しい化合物を発見した。本物質群の高圧相安定性と結晶化学について、メタロイド原子欠陥と充填構造という観点から理解できることを見出した。さらに,新規化合物の電子構造と機能物性について計算と実験により解明を進めてきた。また,ダイヤモンドアンビルセルを用いた数十GPa以上の超高圧合成によって新規な金属多窒化物を創製し、本物質群の構造に特徴的なN-N結合と機能物性の相関を系統的に調査してきた。さらに、構造と機能を精緻に解明するために必要な単結晶やナノワイヤー結晶の育成に成功した。また、希土類多ホウ化物合成において、高融点のRB6およびホウ素から高圧下レーザー加熱の特色を活かした、融解合成によりRB12の合成に初めて成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度稼働が開始した高圧力下SPSプロセスを用いて、難焼結性物質の焼結性改善による硬度やイオン伝導性といった物性向上とその起源を解明することを目標にする。具体的には、高圧力下SPS装置において条件の最適化をおこないながら、TaNやYSZなどの窒化物・酸化物を対象に良質な焼結体作製に取り組む。その際、合成プロセスパラメータを変え、得られた試料の硬度やイオン導電性などの物性を評価し、物性向上が見られるか否かを検証していく。試料の粒界構造観察、焼結密度、透光性などの評価を通じ構造情報を蓄え、高圧下SPS処理の概要把握に努める。 昨年までに高圧下複分解反応合成プロセスを開発し、ASnN2(A=Zn,Mg,Sn)の合成に成功し、バンドギャップとの関連について解明してきた。本年度は揮発性の高い硫黄の蒸発を防ぐために高圧合成を利用し、ASnS3(A=Ba,Sr,Ca)の合成・評価をおこなうとともに、太陽電池用のデバイス化を目指した試料大型化のための方策として、高圧合成した物質をターゲット材として用いた薄膜合成も展開する。特に、化学両論組成のBaS-SnS混晶の物性評価を行い、ClもしくはBr添加によるn型化の可否について検討する。 遷移金属―メタロイド系化合物群に関しては、新物質探索を進めるとともに、電子顕微鏡研究グループおよび計算研究グループと密接に連携することによって、相安定性、メタロイド原子の欠陥状態、局所電子状態、マクロおよびナノ領域の機能物性などの相関を解明していく。金属多窒化物群とその関連物質に関しては, N-N結合に注視した連携研究、新規蛍光体の高圧高温合成においては,蛍光特性と賦活剤元素との相関について解明していく。さらに、高密度酸化物や硬質高融点多ホウ化物等の研究の他、DAC高精度位置決め装置の導入や加圧自動化開発を含めた高圧プロセスの高度化研究も進める。
|
-
-
-
-
-
[Journal Article] Electronic Structures of Transition-Metal Pernitrides Studied Using X-ray Absorption and Photoelectron Spectroscopy2021
Author(s)
Soda Kazuo, Kato Daiki, Komabuchi Mai, Terabe Toshiki, Takayama Shin, Ibaragi Toshiki, Kato Masahiko, Niwa Ken, Hasegawa Masashi, Takakura Shoichi, Nakatake Masashi
-
Journal Title
Journal of the Physical Society of Japan
Volume: 90
Pages: 44710
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-