2019 Fiscal Year Annual Research Report
Direction-sensitive dark matter search
Project Area | Unraveling the History of the Universe and Matter Evolution with Underground Physics |
Project/Area Number |
19H05806
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
身内 賢太朗 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (80362440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中 竜大 東邦大学, 理学部, 講師 (00608888)
小川 洋 日本大学, 理工学部, 助手 (20374910)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / 地下実験 / 低放射能技術 / ガス飛跡検出器 / 原子核乾板 |
Outline of Annual Research Achievements |
NEWAGE実験はガス検出器(μ-PIC)を用いた方向に感度を持つ暗黒物質を行う。このために、放射性不純物の含有量の少ないμ-PIC(低BGμ-PIC)の開発を代表者の身内が行う。2019年度には、低BGμ-PICの新規材料として、人工石英をベースにした基材と、低α放出の銅箔といった低BG μ-PICの材料を選択した。 また、地下実験用の検出器製作に向けて、GEMを製作し、動作確認を行った。その他、低BG化のためのキーデバイスとなるα線イメージングチェンバーの開発についての論文(NIM A (2020))、回路の開発に関する論文(JINST(2019))、銀河の暗黒物質運動のモデルに対する見積もり論文(Physics of the Dark Universe(2020))などの成果を得た。また、物理学会誌への寄稿(物理学会誌2020年)や教科書の分担執筆(「宇宙物理学ハンドブック」)なども行った。 ガス検出器の深刻なBGである放射性同位体ラドン低減のために、分担者の小川が、吸着剤(モレキュラーシーブス, MS)を用いたラドン除去システムを開発する。2019年度には、市販のものよりも低BGなMSの製作を行い、ラドン吸着及び放出の測定を英国シェフィールド大と協力して進めた。また、日本大学での評価を可能とするためにラドン検出器を製作、測定システムの構築を進めた。 NEWSdm 実験は、固体検出器(原子核乾板)を用いた方向に感度を持つ暗黒物質を行う。このために読み取り装置の高感度化・高速化を分担者の中が行う。2019年度には、プラズモニクスを用いた事象選別法ならびに機械学習を用いた多変解析の研究を進め、事象選別の効率化と背景事象選別の有効性を実証した。また、スキャンニングシステムの速度が、当初立ち上げ機から約10倍の速度向上が達成、順調に研究が進んでいる(PTEP (2020))。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の3つのテーマである、NEWAGE、低BG MS開発、NEWS-dmいずれも予定通り順調に研究が進んでいる。NEWAGE実験に関しては、2019年度には、低BGμ-PIC製作のための材料選択を予定した。これに対して、同新学術領域の計画研究D01と協力して人工石英をベースにした基材と、低α放出の銅箔といった低BG μ-PICの材料を選択した。基材に関しては従来のものよりも2桁以上放射性不純物の含有量の少ない材料を選択、2020年度以降の検出器製作に向けて予定通りの進捗を得た。 これらの開発は、身内が中心となって、μ-PICの製作を行う大日本印刷株式会社および、樹脂材料の提供先として信越化学工業株式会社の協力のもとで行われている。 放射性同位体ラドンバックグラウンド低減のための吸着剤(モレキュラーシーブス, MS)を用いたラドン除去システムを開発に関しては、2019年度には、低BGなMSの製作を予定した。実際に、低BGな材料の選定により市販のもの低BGなMSの製作が可能であることを示した。製作したMSに関して、ラドン吸着及び放出の測定を英国シェフィールド大と協力して進めた。これらのMS製作は、小川が中心となってユニオン昭和(株)と共同で行っている。 NEWSdm 実験に関しては、2019年度には、スキャニングシステムの高速化と並行し、新たなスキャニングシステムの立ち上げの準備を行い、解析体制の強化を進めた。さらにNEWSdmのデバイス応答を反映したシミュレーションの構築も進め、事象検出のより詳細な理解を進めた。イタリア・グランサッソ研究所においても地下実験に向けたデバイス製造装置の運用、ならびにデバイスハンドリング環境の構築を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り進捗している。今後も研究代表者、分担者間の連絡を密にして、研究を進めて行く。特に、イタリアでの測定を予定しているNEW-dmに関しては、渡航が予定通り行かない場合に、同等の成果を得られるように国内での測定を検討してゆく。
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