2021 Fiscal Year Annual Research Report
Direction-sensitive dark matter search
Project Area | Unraveling the History of the Universe and Matter Evolution with Underground Physics |
Project/Area Number |
19H05806
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
身内 賢太朗 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (80362440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中 竜大 東邦大学, 理学部, 講師 (00608888)
小川 洋 日本大学, 理工学部, 助手 (20374910)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / 地下実験 / 低放射能技術 / ガスTPC / 原子核乾板 |
Outline of Annual Research Achievements |
NEWAGE実験はガス検出器(μ-PIC)を用いた方向に感度を持つ暗黒物質を行っている。このために、放射性不純物の含有量の少ないμ-PIC(低BGμ-PIC)の開発を代表者の身内が行う。2021年度には、2020年度に製作した30cm角低BGμ-PICの性能評価を詳細に行った。地下実験室では、既存のμ-PICを用い、低閾値化、低バックグラウンド化の改良を施した暗黒物質探索を行い、半年以上のデータを取得した。また、既存のμ-PICによる108日分の観測データを用いて、原子核反跳の三次元飛跡を利用した解析を行った結果の出版(PTEP 2021)、カーボンファイバーによるガス中からのラドン除去に関する論文出版なども行った(JINST2020)。 ガス検出器の深刻なBGである放射性同位体ラドン低減のために、分担者の小川が、吸着剤(モレキュラーシーブス, MS)を用いたラドン除去システムを開発している。2021年度には、英国シェフィールド大との共著論文を出版した(JINST2021)。また2020年度までに製作したものよりも低BGなMSの製作のため、材料の選択、製法の見直しを行った。また、ラドンBG・吸着の測定システムの運用を開始した。 NEWSdm 実験は、固体検出器(原子核乾板)を用いた方向に感度を持つ暗黒物質を行っている。このために読み取り装置の高感度化・高速化を分担者の中が行っている。2021年度には、東邦大学にプラズモン共鳴による事象解析に特化した読み取りシステムを構築した。また、イタリアの現地研究者と協力し、グランサッソ国立研究所での地下実験環境におけるバックグラウンドの理解を目的とした観測実験、ならびにsub-MeV帯の中性子の測定を目的とした観測実験を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NEWAGEの低BG検出器開発、低BG MS開発、NEWS-dmそれぞれ予定通り進捗している。 NEWAGEでは2020年度に30cm角低BGμ-PICを製作、2021年度に詳細な性能評価を行い、2022年度にフィードバックをかけた実機を製作予定である。これらの開発は、身内が中心となって、μ-PICの製作を行う大日本印刷株式会社および、樹脂材料の提供先として信越化学工業株式会社の協力のもとで行われている。 放射性同位体ラドンバックグラウンド低減のための吸着剤(モレキュラーシーブス, MS)を用いたラドン除去システムを開発に関しては、予定通り低BGなシリカ材料やカルシウム材料を用いた低BGなMS試作に成功、製作過程の見直しを進めている。日本大学において、ラドンBG・吸着の測定システムの運用を開始し、本格的なラドンBG・吸着測定試験を行っている。これらのMS製作は、小川が中心となって東大大学院工学系研究科と共同で、ユニオン昭和の協力のもと行っている。 NEWSdm 実験に関しては、2021年度に新規スキャニングシステムを東邦大学に立ち上げ、運用を開始した。現地の研究者してグランサッソ国立研究所での中性子バックグラウンドの測定も予定通り行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り進捗している。今後も研究代表者、分担者間の連絡を密にして、研究を進めて行く。特に、イタリアでの測定を予定しているNEW-dmに関しては、これまで通りイタリア現地で活動している共同研究者と密に連携し、実験体制の構築を進めていく。渡航が可能となれば、現地での作業も行い、研究を加速させる。
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