2021 Fiscal Year Annual Research Report
History of star formation in the universe with high sensitivity observation of supernova relic neutrinos
Project Area | Unraveling the History of the Universe and Matter Evolution with Underground Physics |
Project/Area Number |
19H05807
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関谷 洋之 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (90402768)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高久 雄一 筑波大学, 数理物質系, 研究員 (40715497)
竹内 康雄 神戸大学, 理学研究科, 教授 (60272522)
鈴木 良一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 首席研究員 (80357300)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
|
Keywords | 宇宙史 / 超新星爆発 / ニュートリノ / 星形成 / 低放射能技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画研究では過去の宇宙の進化の中で起こった超新星爆発によって生成され、現在の宇宙に蓄積されている「超新星背景ニュートリノ」を直接観測することで現在の宇宙の姿や生命の起源について根源的な問いにアプローチする。超新星背景ニュートリノ検出を制限しているバックグラウンドを削減するためには、スーパーカミオカンデ(SK)検出器にガドリニウム(Gd)を導入することで中性子捕獲事象を同定することが有効である。本年度はさらなる硫酸ガドリニウムの追加のための製造したの硫酸ガドリニウムの評価、および導入時のさらなる純化のためのカチオン交換樹脂の開発導入を行った。具体的には硫酸ガドリニウム製造ラインを増強し追加導入する全26トンを半年で製造できる体制を整えた後、今年度製造された硫酸ガドリニウム18トンを高感度Ge半導体検出器とICP-MSで評価し、純度に問題ないことを確認した。またこの硫酸ガドリニウムを用いてカチオン交換樹脂の製造を行った。 一方、Gd導入前の純水フェーズのスーパーカミオカンデにおいて、陽子による中性子捕獲(効率20%)を用いた反電子ニュートリノ探索を行い、超新星背景ニュートリノに対する制限を導出した。結果は15MeV程度の低エネルギー領域まで含め世界で最も厳しい制限であり、いくつかのモデルで予言された領域に初めて到達するものとなった。 また、新たなステンレス表面処理技術の適用によるラドン測定システムのバックグラウンド削減に引き続き取り組んだ。4種類の異なる表面処理を施し、表面処理の違いによるバックグラウンドレベルの差を測定しその結果最も低かった処理を用いた新型の80Lラドン検出器を試作した。 エネルギー較正用電子加速器の開発では、Cバンド定在波型加速管と大電力クライストロンを接続し、加速管の真空環境を改善することで大電力マイクロ波を加速管に導入可能にした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
スーパーカミオカンデ内のGd濃度を0.03%に高めるための準備が想定より早く進められており、2022年度前半には必要な26トンすべての硫酸ガドリニウムが準備できいる見込みが立っている。また、超新星背景ニュートリノ探索自体は、純水時期のデータを用いて解析方法の改善が進みこれまでの制限を大きく更新することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
スーパーカミオカンデへ26トンの硫酸ガドリニウムを追加することを進める。これまでに開発・運用した硫酸ガドリニウム溶解装置は一日400kg導入する仕様であるが、これを一日800kg導入できるよう増強し、1か月間で全26トンの導入を完了させる予定である。具体的には粉体導入部の拡大と溶解槽内の配管改良による溶解時間の短縮を図る。 超新星背景ニュートリノ探索において、Gd濃度増加後に残る最大のバックグラウンドは大気ニュートリノの中性カレント(NC)事象である。0.03%Gd濃度にした後再開されるT2K実験のデータから、中性弾性散乱と荷電準弾性散乱イベントにおける中性子数を比較することでエネルギー毎に中性数の期待値やそれの一次反応点からの飛行距離を検証する。NCQE事象のエネルギー領域はT2Kイベントのエネルギーとほぼ一致しているので、ニュートリノ反応点から近くの一個の中性子しか作らない超新星背景ニュートリノ信号と、遠く飛ぶ複数の中性子を伴う大気ニュートリノNCイベントとの識別を行う。 ラドン測定の高感度化について、今年度に試作した新型の80Lラドン検出器の性能評価(バックグラウンド測定とラドン検出効率の測定)を引き続き行う。また、新たなラドン除去空気の製造方法の検討を開始する。 エネルギー較正の加速器開発においては、クライストロンと主加速管及び電子入射器を接続し、加速管のコンディショニングを行いながらマイクロ波出力を徐々に上げていき、MeVオーダーの電子加速を実現するとともに、往復加速のためのビーム軌道折り返し機構を開発する。
|
Research Products
(42 results)