2011 Fiscal Year Annual Research Report
始原生殖細胞の分化運命決定を制御する遺伝子ネットワーク
Project Area | The germline: its developmental cycle and epigenome network |
Project/Area Number |
20062001
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松居 靖久 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (40241575)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野瀬 俊明 慶應大学, 先導研究センター, 特任教授 (70183902)
|
Keywords | 始原生殖細胞 / エピジェネティクス / 遺伝子改変マウス / ES細胞 / siRNA / DNAメチル化 / 転写制御 / Vasa |
Research Abstract |
本研究課題では、始原生殖細胞(PGC)の発生制御メカニズムを解明するために、これまでに同定した2種類のPGC発生制御遺伝子候補のノックアウトマウスを作成し、表現型の解析を行った。このうちのREST遺伝子については、ホモ変異マウスでは胎齢中期でPGCが細胞死を起こし細胞数が減少することが観察された。さらに細胞死を抑制する働きがあることが知られているMek5遺伝子の発現が、RESTにより誘導されること、またMek5欠損マウスでもREST欠損マウスと同様な細胞死の亢進によりPGC数の減少が観察された。これらの結果から、RESTはMek5の発現誘導を介して、PGCの細胞死を抑制し、生存を保証する機能を持つと考えられる。またPGCで特異的に発現するmi11/fragilis遺伝子などでは、発現制御領域のDNA脱メチル化が発現上昇に関わるのに対して、PGCでは発現しないHox遺伝子などでは、DNAの脱メチル化は起こっているが、転写を抑制することが知られているピストンH3K27のメチル化により、発現が抑制されている可能性が示唆された。さらにES細胞を使ったsiRNAスクリーニングを行い、ノックダウンによりPGC特異的遺伝子の発現上昇を引き起こす5種類の遺伝子を同定した。その一つのMaxは、ES細胞において全ゲノム的に生殖細胞関連遺伝子の発現を抑制している可能性が、マイクロアレイによる解析から示唆された。 一方、Jmjd1C遺伝子欠損に生じる雄性不妊の原因を探るべくChIP-Arrayを実施し、この遺伝子が精子核凝縮を担う遺伝子部位のヒストンH3K9メチル化修飾に関わることが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
それぞれの研究項目について、研究の進捗が見られた。RESTと、その下流遺伝子の関連を調べるための遺伝子改変マウスを外部研究期間から導入したところ、感染が見つかり、その除染のために時間を要し、解析の一部を平成24年度に持ち越さざるを得なかったが、最終的にRESTと下流遺伝子の関連を解明することができ、研究目的が達成された。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更や問題点は特にはないが、ES細胞を使ったノソクダウン実験では、得られた生殖細胞に性質が類似していると思われる細胞の解析を重点的に行うこと、また同定されたMax遺伝子の作用機構を明らかに示すための生化学的な実験やマイクロアレイを使った実験にも力点を置く。
|