2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストンメチル化ダイナミクスの制御と生殖系列での機能
Project Area | The germline: its developmental cycle and epigenome network |
Project/Area Number |
20062005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
眞貝 洋一 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (20211972)
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Keywords | エピジェネティクス / ヒストン / メチル化 / 脱メチル化 / 生殖細胞 |
Research Abstract |
平成22年度以降の計画の「1.G9a欠損で観察される生殖細胞の発生・分化異常の実体の解明」に関連した研究に於いては以下の進展があった。 性分化前のprimordial germ cell (PGC)では、発生の途中から、H3K9メチル化酵素の1つGLPの遺伝子発現がなくなることで細胞レベルでのH3K9me2が消失することが報告されている(Seki et al Development 2007 134:2627-38)。我々は、性分化後の発生段階(E14~E17)の生殖細胞においては、雄性生殖細胞特異的にGLP蛋白質の発現が見られないこと、H3K9me2レベルが低いことを見出している。興味あることに、この段階の細胞ではGLPのmRNAは観察されることから、雄性生殖細胞特異的なGLP蛋白質の発現抑制は転写後制御であることが示唆された。現在、この制御メカニズムの実体の解明を進めている。 研究計画「2.ESET/SETDB1の生命機能における機能解析」に関しては、以下の研究の進展があった。a)次世代シークエンサーを用いたコンディショナルEsetノックアウトES細胞の転写産物の解析の結果、Esetノックアウトにより発現が誘導される遺伝子の中には、発現が誘導された内在性レトロウイルス(ERVs)との融合転写産物として発現しているものがいくつもあることが見出された。ERVsの発現が近傍の遺伝子の発現に影響することは知られているが、ヒストンメチル化がこのERVsによる近傍遺伝子の発現影響の制御に寄与していることが初めて示された。b)ESETによる転写制御機構の実体の解明とESETの標的特異性を明らかにする目的で、質量分析計によるESET複合体構成因子の同定を試みた。その結果、ESET複合体の新規候補構成因子を複数見出した。現在、それらの因子のさらなる検討を開始している。
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Research Products
(6 results)