2009 Fiscal Year Annual Research Report
精子形成におけるエピジェネティック制御とsmall RNA
Project Area | The germline: its developmental cycle and epigenome network |
Project/Area Number |
20062007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仲野 徹 Osaka University, 生命機能研究科, 教授 (00172370)
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Keywords | DNAメチル化 / small RNA / 精子形成 / エピジェネティック制御 / 幹細胞 |
Research Abstract |
piRNAと呼ばれる生殖細胞特異的なsmall RNAは、胎仔精巣において、MILIとMIWI2という二つのPIWIファミリータンパクによる「Ping-Pongサイクル」という分子メカニズムにより、産生されることが知られている。また、MILI欠損、MIWI2欠損は、いずれも、精子産生異常による不妊、piRNAの産生異常、レトロトランスポゾンの発現抑制解除、および、レトロトランスポゾン遺伝子のDNAメチル化異常を生じることが知られている。今年の研究では、MVH(mouse vasahomologue)というDEAD RNAヘリカーゼの、piRNA産生における機能解析をおこなった。 まず、MVH欠損マウスは、MLI欠損マウスおよびMIWI2欠損マウスと極めて類似した表現型を示すことを見出した。つぎに、MVHがpiRNA産生のどの段階において機能するかを明らかにするため、MVHを欠損するオス生殖細胞におけるMILIおよびMIWI2に結合するpiRNAについての解析をおこなった。その結果、MVH欠損マウスでは、MILIに結合するpiRNAは存在するがMIWI2に結合するpiRNAは存在しないこと、また、piRNAのdeep sequencingや、MVH欠損マウスにおけるMILIおよびMIWI2の解析などから、MVHは、ping-pongサイクルの最初の段階において機能すること、特に、MILIにより産生されたpiRNAがMIWI2に受け渡されるステップにおいて重要な役割を有していることを明らかにした。
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