2010 Fiscal Year Annual Research Report
精子形成におけるエピジェネティック制御とsmall RNA
Project Area | The germline: its developmental cycle and epigenome network |
Project/Area Number |
20062007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仲野 徹 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00172370)
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Keywords | PIWI |
Research Abstract |
マウスPIWIファミリーの一つであるMili (Miwi like)を欠損するマウスでは、胎仔期の精巣におけるpiRNAの発現低下、レトロトランスポゾン遺伝子の転写調節領域におけるDNAメチル化の低下、およびレトロトランスポゾン遺伝子の発現上昇が認められる。本年度は、MIILI欠損マウス由来の精子幹細胞(GS細胞)を樹立し、表現型の解析をおこなった。 MILI欠損GS細胞ではレトロトランスポゾンIAP遺伝子のDNAメチル化の低下と、転写産物の発現上昇が認められた。さらに、MILI欠損GS細胞にMILI遺伝子を導入し、MILIの発現を回復させた細胞株(MILI回復GS細胞)を樹立した。MILIの発現回復によってMILI結合piRNAの発現は上昇したが、IAPの転写産物量に変化は認められなかった。そこで、小分子RNAの網羅的解析をおこないLAPに対するpiRNAが産生されているか調べたところ、MILI回復GS細胞において野生型と比べ約20倍発現が上昇していた。さらに次にIAPに対するpiRNAの産生機構を、網羅的解析によって調べた。piRNAの産生は一次生成とping-pongサイクルと呼ばれる二次生成に分けられるが、GS細胞においては、IAP転写産物から一次生成によってpiRNAが生成されるが、ping-pongサイクルによる二次生成には進行しないと考えられた。また、MILIを過剰発現させることによって、IAPに対するpiRNA産生が亢進することも明らかとなった。これらの結果をふまえて、piRNAの一次生成の分子機構を詳細に解明しつつある。
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