2009 Fiscal Year Annual Research Report
卵子による核の初期化機構の解明およびその促進方法の開発
Project Area | The germline: its developmental cycle and epigenome network |
Project/Area Number |
20062015
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
若山 照彦 The Institute of Physical and Chemical Research, ゲノム・リプログラミング研究チーム, チームリーダー (40360672)
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Keywords | 応用動物 / 再生医学 / 獣医学 / 畜産学 / 発生・分化 |
Research Abstract |
本研究は卵子による核の初期化機構の解明を目指すと同時に初期化の促進方法を開発し、体細胞核の完全初期化およびクローン動物特有の異常が生じない健全な個体を高率に作出することを目指している。2009年度には(1) 以前我々は初期化を促進させるためにTSA(HDACiの一種)処理が効果的だと報告したが、この方法では近交系マウスのクローンは不可能だった。今回Scriptaid(別のHDACi)処理によって主要な近交系マウス全てからクローン個体の作出に成功した。さらにScriptaid処理によって2細胞期のRNA合成が活発になること、ヒストンH3K9のアセチル化の割合が未処理クローン胚より受精卵に近づくことなどが明らかとなった(Van Thaun et a1., 2009)。(2) クローン胚および個体には異常が多発することが知られているが、これまでは胚を固定、染色して異常を調べなければならず、調べた胚がはたして個体へ発生できたのか不明だった。そこで胚を生きたまま観察し、その後個体へ発生させることが可能な特殊顕微鏡および観察方法を確立した。具体的には超高感度カメラおよびGFPなどの蛍光色素遺伝子を結合したの的遺伝子のmRNAを胚に注入することで、チューブリンやヒストンを観察可能にし、5万枚以上の蛍光写真を撮影後に産仔への発育を可能にした(Yamagata et al 2009)。(3) クローン研究には必須の卵子の初期化能力を測定するために、核にダメージを与えず卵子活性化能だけを消失した精子の作出を試みた。その結果、精子を10mMのNaOH処理を1時間行うことで、出産率の低下を起こさないで卵子活性化能力を完全に除去した精子を作り出せることがわかった(Li et al., 2009)。
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Research Products
(13 results)