2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Emergence of Heavy Electrons and Their Ordering |
Project/Area Number |
20102007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榊原 俊郎 東京大学, 物性研究所, 教授 (70162287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 正人 岩手大学, 工学研究科, 教授 (30220619)
徳永 陽 日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究員 (00354902)
青木 勇二 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (20231772)
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Keywords | メタ磁性 / 超音波弾性定数測定 / NMR / 多極子 / 鉄砒素系超伝導体 / 高圧測定 / かご状物質 / 近藤効果 |
Research Abstract |
1.PrT_2X_<20>系の四極子秩序と揺らぎ PrTi_2Al_<20>においてAl-NMRによる核スピン-格子緩和率の温度および磁場依存性の詳細な測定を行い、低温の緩和率の特異な増大が増強Pr核スピンの揺らぎによるものではなく、Prのf電子の多極子揺らぎによるものであることを明らかにした(徳永)。中性子散乱およびμSR測定を行い、Γ_3二重項が基底状態で強的な四極子秩序を示すことを確認した(中辻)。高圧下電気抵抗測定の結果、四極子転移温度が7GPa以上の圧力下で低下する傾向を見出し、量子臨界点の存在が示唆される,(上床)。PrV_2Al_<20>について極低温磁化測定を行い、[100]方向の高磁場において新規の秩序相が存在することを発見した(榊原、中辻)。PrRh_2Zn_<20>について低温比熱測定をA02班と共同で行い、60mK付近に四極子転移の比熱異常を見出した(榊原) 2.鉄系超伝導体の軌道揺らぎ(吉澤) Ba(Fe_<1-x>Co_x)_2As_2について面間の弾性定数C33の測定を行い、量子臨界点近傍の試料ではC33が超伝導転移温度の遙か高温から軟化し、構造相転移点でも異常を示さないことを見出した。このことは磁気的な面間の相関と超伝導との関わりを示唆し、この系の構造揺らぎと超伝導との相関関係に次ぐ重要な知見と考えている。 3.YbT_2Zn_<20>関係 YbIr_2Zn_<20>について極低温磁化測定を行い、メタ磁性転移磁場近傍で非フェルミ液体的な磁化の温度依存性を見出した(榊原)。YbCo_2Zn_<20>について圧力下磁場中比熱測定を行い、臨界点近傍において比熱がT^<-n>(0.44<n<0.54)に比例することを明らかにした。 4.新物質関係 新しく立方晶系SmTi_2Al_<20>,SmV_2Al_<20>の単結晶試料を作威し、それらがSm系では非常に珍しく近藤効果を示すこと、また磁場の影響を受けない磁気的秩序状態を示すことを発見した(青木、中辻)。PrNb_2Al_<20>において四極子自由度が関与した非フェルミ液体状態を示唆する極低温比熱発散を見出した(青木)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PrT_2X_<20>については磁場温度相図に関して進展があり、また秩序状態の解明も進んだ。さらに圧力下で量子相転移が存在する可能性が出てきた。加えて、新規物質で興味深い性質を示すものが見つかった。鉄砒素系超伝導体についても、軌道揺らぎの重要性が明らかになったことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
特に大きな変更点はないが、PrT2X20の低温高圧下の物性測定を行い、四極子秩序相から無秩序相への量子相転移が存在する証拠を得ること、および量子臨界点近傍で超伝導が出現するかどうかを探索することが今後の大きな目標である。
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Research Products
(40 results)