2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Earth Science Based on the High Pressure and Temperature Neutron Experiments |
Project/Area Number |
20103004
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
片山 芳則 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主席 (20224462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 高典 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (10327687)
千葉 文野 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (20424195)
鈴谷 賢太郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 研究主幹 (50354684)
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Keywords | 液体 / 非晶質 / 構造 / 高圧 / 中性子 / 水 / 高温 / 放射光 |
Research Abstract |
本研究は、J-PARCパルス中性子源に総括班が建設する高温高圧中性子散乱ビームラインを用いて、世界的にユニークな高温高圧下での液体の実験を実現し、高密度液体の分野で新現象を発見することを目指している。東日本大震災によって中性子実験を行う予定であったJ-PARCが大きな被害を受け、運転再開に長期間を要したこと、高温高圧中性子散乱ビームラインの完成も大幅に遅れたことから、平成23年度に高圧中性子実験を実施することができなかった。そのため、候補物質の放射光X線回折実験、解析法や実験法の開発、学会での発表と情報収集を行った。1.中性子実験の候補となる物質について、放射光X線回折実験による研究を継続した。特に、千葉らは溶融高分子の高圧下のX線回折実験から、圧力を加えることによって高分子の空間充填の仕方に劇的な変化が起こることを明らかにし、論文を発表した。また、液体ガリウムの高精度の高圧放射光X線回折実験から、圧力によって液体の構造が単純液体的な構造へ近づく様子を詳細にとらえることに成功した。さらに、高圧中性子実験の第一の目標である水については、高圧X線回折実験の温度範囲を拡張し、600K以上の高温では構造変化がほとんど起こらないという、今後の中性子実験の温度圧力範囲を絞り込むために有意義な情報を得た。2.永久高密度化した石英ガラスのX線回折と中性子回折データを併用したリバースモンテカルロ法による構造モデルの構築に関しては、多数の試行を行うことによってリングのサイズ分布の不確かさの評価を行った。3.高温高圧水については、関連する2つの国際会議で招待講演を行い、成果を発表するとともに、当分野の最新の情報を収集した。また、中性子高圧実験に用いる試料容器のレーザー溶接のテストも行った。以上によって、今後予定している中性子による研究の準備を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災によって、中性子実験を行う予定であったJ-PARCが大きな被害を受けるとともに、高温高圧中性子散乱ビームラインの完成も大幅に遅れた。そのため、高圧中性子実験を行うことができなかった。一方、放射光X線回折実験によるX線回折実験や、解析法や実験放の開発に関しては、おおむね順調に進展した。よって、全体として、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
東日本大震災の影響で、高温高圧中性子散乱ビームラインを用いた液体の実験は、本年度の秋以降にしか行うことができないと予想される。そのため、第一目標である水の研究を優先し、測定を行う温度圧力領域も大きな変化が起きると予想される領域に絞り込む。また、その他の研究については、水の構造研究に直接関係する同位体置換による部分構造解析を先に行ない、共有結合性液体や非弾性散乱については測定時間や実験条件に余裕がある場合に行なうことにして、水の研究で十分な成果が期限内に挙げられるようにする。
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Research Products
(25 results)