2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造物質の高密度少数多体電子正孔系の顕微分光と光機能
Project Area | Optical science of dynamically correlated electrons in semiconductors |
Project/Area Number |
20104006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金光 義彦 京都大学, 化学研究所, 教授 (30185954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太野垣 健 京都大学, 化学研究所, 准教授 (80422327)
山本 真平 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 助教 (20362395)
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Keywords | ナノ材料 / 光物性 / 半導体材料 / オージェ再結合 / キャリアダイナミクス / カーボンナノチューブ / ナノ粒子 |
Research Abstract |
本年度は、新しい特色のある半導体ナノ物質の動的電子相関にもとづく光学現象を探求し、その活用に向けた道筋をつけることを目的として研究を行った。時空間分解分光装置の開発・改良を進め、顕微分光と2波長可変ポンププローブ分光、可視および赤外域時間分解発光分光を活用し、動的電子相関の探索研究を行った。これらの研究を通して、その物質固有の特異的な動的電子相関を見つけ出すとともに、物質によらない普遍的な動的電子相関を解明し、学理の構築を進めた。 時空間分解発光分光システムを構築するために、波長可変装置の付属した高繰り返しの高出力フェムト秒光源の導入・整備を行った。これらの計測システムを用いた精密光学測定により、窒化物や酸化物のワイドギャップ半導体における励起子状態の解明や、半導体ナノ粒子やカーボンナノチューブにおけるマルチエキシトンダイナミクスの研究を行った。主な研究実施・成果を以下にまとめる。(1)ペロブスカイト型酸化物であるチタン酸ストロンチウムにおいてバンド端発光を初めて観測し、発光メカニズムやキャリア特性の解明を行った。(2)カーボンナノチューブにおいてトリオン発光を初めて観測するなど、その光学特性の解明を行った。(3)半導体ナノ粒子などのナノ物質において高密度キャリアダイナミクスの研究を行い、マルチエキシトン状態におけるオージェ再結合過程などのキャリアダイナミクスの特性解明を行った。また、これらのナノ物質についてキャリアダイナミクスの励起光エネルギー依存性の系統的な研究を行い、マルチエキシトン生成などの新規な多体キャリアダイナミクス発現の探索を行った。(4)新しい光機能の発現が期待される半導体ナノ粒子・ナノロッドなどの試料作製を行い、それらの基礎光学特性を明らかにした。
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