2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造物質の高密度少数多体電子正孔系の顕微分光と光機能
Project Area | Optical science of dynamically correlated electrons in semiconductors |
Project/Area Number |
20104006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金光 義彦 京都大学, 化学研究所, 教授 (30185954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太野垣 健 京都大学, 化学研究所, 准教授 (80422327)
山本 真平 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 助教 (20362395)
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Keywords | ナノ材料 / 光物性 / 半導体物性 / オージェ再結合 / キャリアダイナミクス / カーボンナノチューブ / ナノ粒子 / 電子正孔系 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブなどの半導体ナノ物質において、動的電子相関に基づく光学現象・光機能を明らかにし、その活用に向けた指針を得ることを目指し研究を行った。ナノ物質における複雑かつ微細なエネルギー構造や動的電子相関を系統的に調べるために、超伝導マグネットや液体窒素冷却CCD分光システムなどを導入し、磁場中顕微分光測定システムを構築した。この測定システムや可視赤外域時間分解発光分光計測システムを用いて、ナノ構造の多励起子や励起子複合体の研究を行った。以下に主な研究実施・成果をまとめる。(1)カーボンナノチューブの励起子の特性解明を行うために基礎光学測定を実施した。この研究を進展させるために、近赤外領域まで高感度に検出できる紫外可視近赤外分光光度計の導入と、系統的な光学測定に必要となる光学系部品の追加によって、計測の高効率化を行った。これによって、様々な条件で調整されたキャリアドープカーボンナノチューブ試料について、その基礎光学スペクトルを系統的かつ効率良く測定した。カーボンナノチューブにおける励起子や荷電励起子に関する系統的な情報から、ナノ物質における動的電子相関の解明を進めた。(2)ナノ粒子やナノロッドにおいて高密度キャリアダイナミクスの研究を行い、オージェ再結合過程などのキャリアダイナミクスの特性解明を行った。ダイナミクスの励起光エネルギー依存性の系統的な研究を行い、マルチエキシトン生成などの新規な多体ダイナミクス発現の探索を行った。(3)チタン酸ストロンチウムなどのペロブスカイト型酸化物において時間分解測定を行い、高密度励起状態で現れる青色発光の起源やキャリア緩和ダイナミクスの解明を行った。(4)新しい光機能の発現が期待される半導体ナノ粒子の試料作製に挑戦し、それらの基礎物性測定を行った。カーボンナノチューブやナノ粒子などのナノ物質において、励起子複合体や少数電子正孔系が関与した動的電子相関の基礎研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ粒子、ナノロッド、カーボンナノチューブなどの特色ある半導体ナノ構造で実験を行い、動的電子相関効果が腫要な役割をする光学現象の特徴が明らかになってきている。計画通りに順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、主として化学的手法によって得られる新しい半導体ナノ構造物質の高密度励起状態を時空間分解分光により研究し、ナノ物質の動的電子相関効果を解明し、この相関効果がもたらす光機能現象の探索を行ってきた。ナノ粒子、ナノロッド、カーボンナノチューブなどで実験を行い、動的電子相関効果の特徴を明らかにしてきた。今後も、光機能を多様なナノ物質において普遍的に実現するための技術学理を追求・構築する。
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Research Products
(28 results)