2009 Fiscal Year Annual Research Report
動的相関電子系における相転移・クロスオーバーと光学スペクトル
Project Area | Optical science of dynamically correlated electrons in semiconductors |
Project/Area Number |
20104010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浅野 建一 Osaka University, 大学院・理学研究科, 准教授 (10379274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 琢磨 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (20452419)
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Keywords | 電子正孔系 / 励起子 / 励起子分子 / ハバードモデル / カーボンナノチューブ / グラフェン / サイクロトロン共鳴 / コーンの定理 |
Research Abstract |
ノンドープープ半導体を光で強く励起し、伝導帯に電子、価電子帯に正孔を多数作って、これらがバンド内緩和するのを待つと、電子正孔系の準平衡状態が実現される。またタイプII量子井戸やセミメタル系も電子正孔系を実現する舞台である。レーザーデバイスへの応用も視野に入れながら、この系の研究を推進した。本年度の成果を以下に列挙する。 1. バンド絶縁体とセミメタル(電子正孔)系の境界に位置する二次元ゼロギャップ系の代表例として、グラフェンを考察した。特にサイクロトロン共鳴に現れる雷子間相互作用の効果(モード間反発と電子間散乱による線幅の増大)について調べだ。 2. グラフェンを丸めた一次元系である半導体カーボンナノチューブ系の励起子分子について考察し、遮蔽効果によって束縛エネルギーが著しく減少することを示した。谷自由度に対応して現れる固有エネルギーの微細構造、電子間、電子正孔間相関等についても調べた。 3. 密度不均衡がある電子正孔二層系において量子凝縮相を調べ、クーロン相互作用の長距離性(パリティー混合効果)が、FFLO(Fulde-Ferrell-Larkin-Ovchinnikov)を安定化することを明らかにし、従来の理論計算の結果を大幅に書き換えた。 4. 動的平均場理論で高次元電子正孔ハバードモデルを扱い、そこで得られた格子系の情報から、連続体モデルの情報を引き出す新しい手法を開発した。 5. 2軌道ハバード模型の金属-絶縁体転移近傍の物性に関してセル型動的平均場理論を用いて調べた。フント結合によって強磁性・反強軌道揺らぎが増大し、軌道秩序の前駆現象として絶縁体的状態が安定化することを明らかにした。
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