2011 Fiscal Year Annual Research Report
動的相関電子系における相転移・クロスオーバーと光学スペクトル
Project Area | Optical science of dynamically correlated electrons in semiconductors |
Project/Area Number |
20104010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浅野 建一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (10379274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 琢磨 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (20452419)
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Keywords | 電子正孔系 / 励起子モット転移 / 低次元系 / デイラック電子系 / 動的平均場近似 / 多軌道ハバード系 |
Research Abstract |
1.一次元および二次元電子正孔系の熱平衡状態:広い密度と温度の領域を、一つの理論の枠組みで記述できる新しい手法を開発した。これは具体的に言えば、電子間、正孔間、電子正孔間のT行列、電子および正孔の自己エネルギー、および遮蔽効果の三者を自己無撞着に決定する摂動論である。既存の摂動理論はプラズマ中に埋め込まれた電子と正孔の相関を考察するものであったが、我々の理論は、プラズマと励起子ガスの中間的な状態に埋め込まれた電子と正孔の相関を考察できる枠組みとなっている。これにより、励起子のイオン化率を尺度として、励起子ガスと電子正孔プラズマ間の励起子モット転移やクロスオーバーを詳細に調べることができるようになった。この枠組を使って調べた光学応答のスペクトルは、実験結果を半定量的に再現する。 2.カーボンナノチューブ上の荷電励起子:既存の理論が無視してきたバンドの非放物線性、構造因子、遮蔽、自己エネルギー補正の効果を取り入れ、主に遮蔽と構造因子の効果が束縛エネルギーを小さく抑えことを示した。また、クーロン相互作用の短距離部分から生じる準位の微細構造についても調べた。 3.ディラック電子系の設計:固体のバンドにディラック点が出現する条件を提示し、手軽にデイラック電子系を設計する指針を与えた。 4.多バンドババード系における電子相関効果:3軌道ハバード模型において金属絶縁体転移を調べ,軌道分裂幅と相互作用の強さに対する相図を描いた。フント結合と軌道分裂の競合により、軌道ゆらぎの強さが相互作用の強さに対して非単調に変化した結果、金属絶縁体転移にリエントラント的な振る舞いが現れた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中核に据えてきた、低次元電子正孔系の熱平衡状態に関する研究が軌道にのっており、この系に関する新たな知見が次々に得られている。また、カーボンナノチューブに関する励起子分子・荷電励起子の理論的研窄がほぼ完成し、その主要な結果を論文としてまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、低次元電子正孔系の熱平衡状態に関する研究を中核に据え、我々が新たに開発した手法を様々なタイプの系に適用していく。また、理論手法を更に改善して、テラヘルツ分光等に関する情報を引き出せるようにしていきたい。研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点は今のところない。
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Research Products
(15 results)