2012 Fiscal Year Annual Research Report
動的相関電子系における相転移・クロスオーバーと光学スペクトル
Project Area | Optical science of dynamically correlated electrons in semiconductors |
Project/Area Number |
20104010
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浅野 建一 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10379274)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 琢磨 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20452419)
|
Project Period (FY) |
2008-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 電子正孔系 / 励起子モット転移 / サハの定理 / 励起子イオン化率 / 低次元系 / ハバードモデル / カゴメ格子 / 幾何学的フラストレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
電子間,正孔間,電子正孔間のT 行列を,電子や正孔の自己エネルギーに反映させながら,両者を自己無撞着に決める自己無撞着T行列近似を開発した.この理論では,電子正孔間のT 行列を通じて電子と正孔の自己エネルギーや一粒子グリーン関数に励起子束縛状態の情報が入り,イオン化率を考察することが可能である.イオン化率の情報は相互作用の遮蔽定数にフィードバックされ,これにより励起子形成による遮蔽効果抑制の効果が考慮され,イオン化率が不連続に跳ぶ「純粋なMott転移」も記述可能である.実際に擬一次元と二次元系の相図を,イオン化率を使って可視化し,イオン化率の振る舞いが古典量子クロスオーバーを示して大きく変化してすることを見出した.このクロスオーバー線より高温・低密度側では,電子と正孔が励起子に変化する反応過程に対して成り立つ古典的なSaha 方程式が良い近似を与え,低温・高密度側ではSaha方程式からのずれが顕著になる.これはPauli ブロッキング(Fermi 統計性)が顕著に効く領域へ突入したことの現れである.低温・低密度では遮蔽効果の抑制により励起子が自己安定化して,イオン化率が低い領域が高密度側へ張り出す.その傾向は擬一次元系よりも二次元系において顕著である.その結果,イオン化率が急激に変化する領域が出現し,これは最終的に不連続な跳びを示す純粋なMott 転移へと繋がる.一方で,共存相を伴う一次相転移の可能性も同時に示唆された. また,カゴメ格子上ハバード模型においてモット転移近傍における磁場効果について調べた.、その結果,磁場印加によって電子の有効質量が軽くなるという,先行研究の動的平均場理論の結果と逆の振る舞いが見出された.これは磁場によって幾何学的フラストレーション効果が抑制され,反強磁性相関が強まった結果だと理解できる.
|
Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|