2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体機能性樹状高分子を用いたソフトインターフェースの設計
Project Area | Molecular Soft-Interface Science |
Project/Area Number |
20106003
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三浦 佳子 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (00335069)
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Keywords | デンドリマー / タンパク質 / 分子認識 / 有機薄膜 / 糖 / ナノ構造 |
Research Abstract |
規則正しい枝分かれ構造と精密なナノ構造を持つ樹状高分子を利用して、生体機能性バイオインターフェースの設計、機能の解析を行った。この高分子を金微粒子、金基板、ガラス基板に結合させた界面を作製した上で、生体機能の解析を行った。 オリゴエチレングリコールで末端を修飾したデンドリマーを作製し、これで金基板表面を修飾し、タンパク質(リゾチーム、シトクロムC、牛血清アルブミン、フィブリノーゲン)の非特異的吸着の度合いを調べた。単純にオリゴエチレングリコールを修飾した薄膜では、タンパク質の添加量の度合いに従って、タンパク質の吸着が多くみられた。一方で、デンドリマーオリゴエチレングリコール複合体薄膜では、タンパク質の電荷に関わらず、非特異吸着がみられないことが分かった。デンドリマー薄膜の世代依存性は殆ど見られなかったことから、デンドリマー薄膜特有のナノレベルの凹凸基板と分子末端の込み合った空間が重要であることが示唆された。 次に、細菌が認識する糖としてマンノースを選び、固定化デンドリマーを修飾した。糖-タンパク質の相互作用がデンドリマー界面で増強され、同じ固定化密度の糖鎖薄膜よりも強く結合することを示した。しかしながら、糖認識性の大腸菌を作用させたところ、平滑な薄膜に比べてデンドリマー薄膜には大腸菌が殆ど接着しないことがわかった。このことから、細菌細胞類は糖鎖の価数による結合の強さだけでなく、表面の凹凸性といった形状も見分けていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デンドリマーをテンプレートとする薄膜の調製手法によって、糖、オリゴエチレングリコールなどの特有の官能基の分子密度や距離の制御方法を確立した。そして独特の機能を発現することを解析したことから概ね計画通りに進捗していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究では、これまでに確立したデンドリマー薄膜の手法を用いることで、タンパク質や細胞に対する作用を調べて、細胞の機能制御を達成することを目標とする。また、学術論文としてまとめていない成果が多数あるのでこれらをできる限り発表する。
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