2008 Fiscal Year Annual Research Report
温度応答性インターフェースの創成と生体分子認識制御
Project Area | Molecular Soft-Interface Science |
Project/Area Number |
20106004
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
菊池 明彦 Tokyo University of Science, 基礎工学部, 准教授 (40266820)
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Keywords | ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) / 原子移動ラジカル重合 / 表面開始重合 / 温度応答性表面 / ソフト界面 |
Research Abstract |
本年度は、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)ブラシ界面の調製を、カバーガラス表面、内径300μmのガラス管ならびに内径100μmのフューズドシリカキャピラリー内に行った。この調製は、原子移動ラジカル重合(ATRP)を適用した。クロロメチルフェニルエチルトリクロロシランを洗浄カバーガラス表面に蒸気法で導入し、ガラス管とキャピラリー内腔の場合はシラン剤のトルエン溶液を購入したシリンジポンプを用いて連続的に通液してシラン処理した。これらの表面に所定量の触媒を含むIPAAmモノマー溶液を接触させ所定時間反応させてPIPAAmブラシの導入を行った。PIPAAmブラシの導入されたカバーガラス表面、あるいはガラス管で温度変化に応答した水の接触角を測定したところ、32℃を境により低温で小さな接触角を、高温側で大きな接触角を示し、PIPAAmが導入されたことが確認された。そこで、内腔表面にのみPIPAAmを修飾したキャピラリーを現有のHPLCシステムに接続し、疎水性の異なるステロイド類(コルチゾンとテストステロン)との相互作用を解析した。購入した低温バスサーキュレーター内にPIPAAmキャピラリーを浸漬し、20℃での溶出挙動を解析したところ、2種類のステロイドは単独のピークで溶出したものの、40℃では、より疎水性の高いテストステロンの保持時間が有意に延長し、両者のピークトップが独立なクロマトグラムとなった。すなわち、キャピラリー内腔表面のみの修飾で5分程度の短時間に生体分子との相互作用を制御できる可能性が見いだされた。一方で、分離効率から考えると、より精密な表面設計の重要性が示唆され、今後、界面設計についても詳細に検討が必要であると考えている。
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