2009 Fiscal Year Annual Research Report
温度応答性ソフトインターフェースの創成と生体分子認識制御
Project Area | Molecular Soft-Interface Science |
Project/Area Number |
20106004
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
菊池 明彦 Tokyo University of Science, 基礎工学部, 教授 (40266820)
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Keywords | ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) / 原子移動ラジカル重合 / 表面開始重合 / 温度応答性表面 / ソフト界面 / モノマー濃度 / 生体分子認識 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に実施した結果を受け、特に表面開始原子移動ラジカル重合におけるモノマー濃度の変化によって生成するポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)修飾表面の表面物性変化と、生体分子としての種々ステロイド分子との相互作用を検討することを目的に実験を行った。重合時のモノマー濃度を100mMから600mMと変化させ、重合時間一定の下でフューズドシリカキャピラリー内表面にPIPAAmを導入した。このPIPAAm修飾キャピラリーを、本年度予算で購入したミクロHPLCのカラムとして用い、キャピラリー温度を昨年度購入済みの恒温水槽に浸漬して制御した。いずれの温度でもPIPAAm表面と相互作用しないアデノシンを標準物質に用い、ステロイドホルモンのコルチゾン(cor)、酢酸ヒドロコルチゾン(hca)、テストステロン(tes)の保持時間から相互作用の度合いを評価した。いずれのモノマー濃度で調製したキャピラリー表面でも、PIPAAm鎖の転移温度である32℃付近を境に高温側でステロイド分子の保持時間は延長した。モノマー濃度が高くなるにつれ、特に転移温度以上でのステロイド分子の保持時間が大きくなった。このことは、PIPAAm修飾キャピラリー内で疎水性化したPIPAAm修飾表面と疎水性のステロイド分子との疎水性相互作用が大きくなったことを示している。さらに、cor<hca<tesの順に保持時間が延長した。これは、各物質の疎水性度を示す1-オクタノール/水系での分配係数の対数値の大きいtesほどより強い疎水性相互作用を示した結果と考えられた。いずれの場合も、分析時間は10分以内であり、廃液量もμLオーダーで少ないことが示された。今後は、共重合によって表面に導入する温度応答性高分子鎖の組成が生体分子との相互作用に与える影響を検討し、生体分子とPIPAAm誘導体修飾表面との相互作用特性を明らかにしていく予定である。
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Research Products
(6 results)