2010 Fiscal Year Annual Research Report
温度応答性インターフェースの創成と生体分子認識制御
Project Area | Molecular Soft-Interface Science |
Project/Area Number |
20106004
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
菊池 明彦 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (40266820)
|
Keywords | 温度応答性 / ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) / 原子移動ラジカル重合 / ポリマーブラシ / ソフトインターフェース / 生体分子 / 疎水性相互作用 / キャピラリー |
Research Abstract |
本研究では、温度変化に応答して水溶性の変化するポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)とその誘導体を内表面に修飾したフューズドシリカキャピラリーを調製し、ミクロHPLCシステムを用いて生体分子との相互作用を解析することにより、生体分子認識制御の可能性を検討している。平成22年度は特にIPAAmに疎水性のブチルメタクリレート(BMA)を表面開始原子移動ラジカル重合(SI-ATRP)により調製し、この界面と低分子疎水性生理活性物質、ならびにタンパク質との温度変化にともなう相互作用変化を解析した。本年度に購入した蛍光顕微鏡を用いて、ポリマー修飾表面と蛍光標識タンパク質との相互作用を解析した。顕微鏡に備えた温度制御可能な試料台にポリマーブラシ表面を設置し、タンパク質の吸着を調べたところ、タンパク質の種類によって37℃での吸着に違いが見られた。さらに20℃ではタンパク質はまったく吸着せず、P(IPAAm-co-BMA)表面では37℃で吸着したタンパク質は20℃では脱着せず、より低温にすると脱着することが明らかとなった。このような表面をキャピラリー内表面に構築し、ミクロHPLCシステムで温度変化にともなう生理活性物質の保持挙動を解析した。PIPAAm修飾キャピラリーに比較して、P(IPAAm-co-BMA)修飾キャピラリーでは、より低温で生体分子の吸着が生起した。このことは、タンパク質のような生理活性物質をより低温で認識制御しうる可能性を示している。さらに、テストステロンとコルチゾンの2種類のステロイドを用いた場合、20℃未満の温度では、両者は1つのピークで溶出したが、20℃を超えるとテストステロンの溶出に遅れが観察された。すなわち、水中で疎水性相互作用を制御するだけで生体分子の分離の可能性が示された。今後、タンパク質などの生体分子を用いさらなる検討を行う。
|
Research Products
(19 results)