2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Molecular Soft-Interface Science |
Project/Area Number |
20106005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
栗原 和枝 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (50252250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水上 雅史 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (60333902)
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Keywords | 表面・界面物性 / ナノバイオ / ナノ材料 / 分子認識 / 高分子ブラシ |
Research Abstract |
本研究は、2つの表面間の相互作用の距離依存性を直接評価できる表面力測定を中心手段とし、分子認識など、固-液界面における分子膜の特性を明らかにし、ソフト界面の分子科学に寄与することを目的とし、さらに生体分子間の相互作用、医用材料表面の評価を可能とする方法論の開発を目指す。 具体的には、様々な生体分子の配向制御した固定化法の開発、DNAの転写制御に関与するタンパク質群の相互作用の直接測定を行い、さらに領域内の他の研究者の扱う高分子ブラシ層ならびに分子認識系の評価を行い、その特性を明らかにし、ソフト界面の分子科学の確立に資することを目的としている。 平成23年度は、平成22年度にひき続いて、枯草菌の胞子形成過程で機能するホスホリレーシグナル伝達系に関与するタンパク質(KinAとSpoOF)を表面に配向固定化し、相互作用力の直接測定を行った。ATP存在下でKinAとSpoOF修飾表面間の接着力(引力)に対する補因子Ca^<2+>,およびMg^<2+>イオンそれぞれの効果を評価した。 また、生体適合性表面として典型的に用いられるポリエチレングリコール(PEG)修飾表面の吸着抑制機構、およびPEGの分子鎖長、コンフォメーション、水和、密度などの影響を調べるため、金表面上に種々の分子量のチオールPEG鎖のブラシ層を調製し、ツインパス型表面力装置を用いて、純水中のPEGブラシ層間の表面力測定による評価を行った。その結果、低分子量のPEGは伸張した状態であるが、高分子量になると折りたたまれた構造となることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
目的である、様々な生体分子の配向制御した固定化法の開発、DNAの転写制御に関与するタンパク質群の相互作用の直接測定、領域内の他の研究者の扱う高分子ブラシ層ならびに分子認識系の評価を計画に従って順調に進んでいる。さらに、当初計画になり金表面上に調製したPEGブラシ層の特性評価も進んでいることから区分(1)と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、配向固定化した生体分子間の相互作用の直接評価、および高分子ブラシ層の評価をさらに進める。具体的には、ニワトリ卵白リゾチーム(wild type,1アミノ酸変異体(K97A,K97M))と、その抗体HyHEL10scFvを表面に配向固定化し、さらに特異的相互作用を評価するための密度の最適化を行い、1アミノ酸変異による相互作用への影響を評価する。また、生体適合性表面として典型的に用いられるポリエチレングリコールブラシ層の表面力・共振ずり測定法による評価を始めており、さらにネルギー損失・質量計測水晶発振子マイクロバランスを用いた評価を合わせて行い、ブラシ層内の分子鎖のコンフォメーション、水和状態などの評価、分子量との相関を明らかにする。
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Research Products
(44 results)