2011 Fiscal Year Annual Research Report
3次元ナノ相分離膜構造と高感度分子認識能の動的解析
| Project Area | Molecular Soft-Interface Science |
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20106008
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| Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
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Principal Investigator |
佐藤 縁 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (40357132)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 恭子 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (50358321)
田中 睦生 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (70344108)
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| Keywords | 自己組織化 / 表面プラズモン共鳴 / 電気化学 / 分子認識 / 糖 |
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| Research Abstract |
本研究では、生体分子認識部位を有する分子と非特異吸着抑制分子とで構成する複合単分子層の機能発現と、機能界面の新規評価法を提案し、弱い相互作用でも高感度に高効率に検出可能な表面の作成と応用系を実現することを目指している。昨年度までに、非特異吸着抑制分子のさらなる改良とこれを積極的に用いてタンパク質認識膜の構築を行い、特にレクチン認識膜表面の緻密さの評価を主に電気化学的手法を使って進めてきた。今年度は、さらに我々の開発した非特異的な吸着を抑える材料の特性を活かし、抗原抗体反応の酵素標識・電気化学検出の際の機能性膜材料として採用する試みも行った。具体的には、表面プラズモン共鳴測定用の金チップ表面に形成された抗体固定分子と非特異吸着抑制材料とで構成したハイブリッド単分子膜が、抗原抗体反応や酵素標識にまつわる各種分子類による非特異的な吸着をほぼ完全に抑えつつ、その一方で、酵素反応により生じる電気化学活性種は膜内を透過可能な有効な材料であることを実証した。また、糖-レクチン(タンパク質)相互作用をできるだけ効率よく検出するための新規手法として昨年度より試みを行っていた、電気化学手法による高感度化を測定系に取り入れるために、電気化学表面プラズモン共鳴測定と電気化学水晶振動子マイクロバランス法による測定を行い、高感度化現象の確認と、実際に利用していくための問題解決に関して検討を重ねた。レクチン(タンパク質)認識ハイブリッド膜構造の微細な3次元的構造が、レクチン(タンパク質)認識に大きく影響する現象について、非特異吸着抑制分子として単純な水酸基末端のアルカンチオールをモデル分子として用い、分子膜構造の原子レベルでの観察結果をフィードバックさせながら詳細に検討した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖とレクチン間の相互作用は抗原抗体反応などと比べても3-4桁以上弱いものであり、相互作用に特異性が高くても検出が難しいのが問題であった。そこに、全く新規な発想で電気化学手法を取り入れることによって、さらに高感度かつ高効率認識が可能となることをつかんだ。この現象と理由について詳細に検討を進めることができ、一番効率よく相互作用を検出できる膜の形状について実証できたところまで研究が進行したため、順調に進展していると判断した。一方、新規材料への膜構築と利用については予備検討に終わっているが、次年度に引き続き進めていく。
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| Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本課題の最終年度に当たるため、分子認識膜構造の3次元的な工夫による効率的なレクチン(タンパク質)検出の実際の系への利用をめざすとともに、その分子化学的な研究を進めることとする。具体的には認識応答を増強させるために認識部位を薄膜の高い所に配置し、また認識分子膜内における認識部位の密度をうまく調節することにより、タンパク質との相互作用を一桁以上あげることに成功し、また今回、電気化学活性基の導入による応答増強の効果も確認できたので、これを元にして実サンプルに近い試料から目的物の検出を行うこと、そしてそのときの膜の動的変化の追跡による分子界面構造の分子認識への影響について明らかにする予定である。
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