2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Molecular Soft-Interface Science |
Project/Area Number |
20106010
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
前田 瑞夫 独立行政法人理化学研究所, 前田バイオ工学研究室, 主任研究員 (10165657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宝田 徹 独立行政法人理化学研究所, 前田バイオ工学研究室, 専任研究員 (30336010)
藤田 雅弘 独立行政法人理化学研究所, 前田バイオ工学研究室, 専任研究員 (50342845)
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Keywords | ソフトインターフェース / 核酸分子 / コンジュゲート材料 / ナノ粒子 / ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) / 生体機能材料 / 遺伝子診断 / 界面科学 |
Research Abstract |
本研究では、DNA鎖とポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAAm)との共重合体の自己組織化を利用したDNA担時ナノ粒子の作製、ならびに種々のDNA担持ナノ粒子に対するDNA末端塩基対構造に応答する特異な分散安定性のメカニズムの解明を目的とする。さらに、この特異現象に基づいた簡便かつ正確な遺伝子診断などの新規ナノバイオ素子の開発を行う。 本年度は、昨年度に引き続いて、DNAコンジュゲートの精密合成とナノ粒子作製、DAN担持ナノ粒子の構造解析に関する研究を精力的に遂行した。分子量や分子骨格を精密に制御したPNIPAAm-b-DNAの合成と構造・物性評価を行った。下限臨界溶解温度以上において球形のコアシェル型ミセルを形成し、表層にDNAが密生した粒径分布の狭い構造の明確なナノ粒子が自発的に形成しうる。PNIPAAmブロック鎖長やDNA鎖長に依存して分子凝集数や粒径を変えることを明らかにした。全粒径ならび各ドメインサイズはPNIPAAmセグメント長や分子骨格に依存した。さらに、DNA二重鎖形成をトリガーとして粒子構造が変化するという現象も見出した。 特異な界面現象に基づく新規バイオセンサーの構築も遂行した。DNAアプタマーを利用することで検討対象を生理活性物質の検出に拡張した。スプリットアプタマーを適切に設計することで、アデノシンモノリン酸との結合によるナノ粒子の非架橋凝集という現象を発見した。 さらに界面現象のメカニズムに関する基礎検討も並行して進めた。原子間力顕微鏡を用いてDNA密生層間の表面力を測定した結果、自由末端が一塩基ミスマッチの場合のみ、充分に遠方から反発力が作用していることが示唆された。末端塩基対の揺らぎ運動に起因すると考えられる反発力の存在は、コロイド分散安定性に関する従来の実験データと矛盾しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的ために構造の明確なナノ粒子設計が必要であった。リビングラジカル重合法によりPNIPAAm-b-DNAを精密合成の開拓に成功し、任意のサイズと物性のナノ粒子を構築することができた。先端計測法による精密構造解析や物性評価も順調である。一方で、その知見に基づいた新規バイオセンサーの開発も遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
DNAの構造、運動性や力学特性のみならず、金属イオンや水分子との相互作用と界面現象との関連性についての興味が新たに生じてきている。例えば、DNA末端塩基対の近傍における水のネットワーク構造を解析し、高分子電解質であるDNA分子とイオン,水分子とのかかわりを調べ、末端構造鋭敏性のメカニズムとの関連性を考察する必要があろう。また、当初では想定しないような新たな現象も発見されてきているので、領域内研究をさらに発展させていくことが重要であると考える。
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Research Products
(23 results)
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[Remarks] ○研究内容又は成果に関するwebページURL
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[Remarks] ○研究室公開など一般向け成果公開活動
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[Remarks] (独)理化学研究所・和光研究所一般公開(対象:全員)(2010.4.23)