2008 Fiscal Year Annual Research Report
構造ゆらぎを促進する分子シミュレーション手法の開発と自由エネルギー計算
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
20107002
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡本 祐幸 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 教授 (70185487)
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Keywords | 生体系 / 蛋白質 / 分子シミュレーション / 拡張アンサンブル法 / 自由エネルギー計算 |
Research Abstract |
生体系の分子シミュレーションの分野で最も広く使われている拡張アンサンブル法である、マルチカノニカル法、焼き戻し法、レプリカ交換法とそれらの多次元への拡張版を更に発展させた手法の開発に成功した(A. Mitsutake and Y. Okamoto, Phys. Rev. E (2009), in press ; J. Chem. Phys.(2009), in press)。特に、温度以外のパラメターに関する焼き戻し法の開発は初めてのことである。系が複雑な場合、レプリカ交換法では多くレプリカが必要になるが、これらの多次元マルチカノニカル法や多次元焼き戻し法では、1個のレプリカでシミュレーションが行われるために、計算時間の大さな節約が可能となる。これらの手法によって、複雑な系でも有効な、大きな揺らぎを引き起こすシミュレーション法が開発できたと言える。更に、これらの手法は精度の良い自由エネルギー計算を可能にするものであり、本研究課題に適した手法と言える。また、我々はアミノ酸数36個の小タンパク質villin head pieceの水中における折り畳みに成功した(T. Yoda, Y. Sugita, and Y. Okamoto, in preparation)。これには、拡張アンサンブル法の一つである、マルチカノニカルレプリカ交換法が使われた。8個のレプリカのシミュレーションで、複数のレプリカにおいて、自然の立体構造への折り畳みが観測された。現在、水分子をあらわに取り入れる計算では、世界的にみても、本系が折り畳みに成功した最大の系である。特に、自然に存在する3つのαヘリックス構造のうち、C末端に一番近いαヘリックスが最初に形成されることを示した。
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Research Products
(3 results)