2010 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー・構造揺らぎの時間分解検出法開発と反応機構
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
20107003
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺嶋 正秀 京都大学, 理学研究科, 教授 (00188674)
|
Keywords | 揺らぎ / 生体分子 / 機能 / ダイナミクス / 分子科学 |
Research Abstract |
YcgFと呼ばれる青色センサー蛋白質の機能に関するダイナミクスを、我々の開発した時間分解法で調べた。その結果、揺らぎにかかわる温度依存性が非常に大きく反応に影響することが明らかとなり、これはこの蛋白質の温度センサーとしての機能を表していることを提案した。 また、別の青色センサー蛋白質であるFKF1の機能にかかわる反応を調べたところ、そのタンパク質の持つ、揺らぎが大きく明確な構造を持っていないループ部位が反応にとって重要であることが明らかとなった。これはまさに機能に揺らぎが重要であることを明確に示した例となった。 その他に、好熱性細菌の持つセンサーであるTePixDの反応を調べた。このタンパク質は暗状態で10量体であるが、それと同時に5量体との平衡になっていること、機能に関係する反応を起こすのは10量体のみであること、さらに10量体のうちで2つのモノマーユニットが光励起されると反応を抑制することなど、非常に特異性のある特徴がいくつも見出された。これらの結果に基づいて、このタンパク質が単に光センサーとして働いているだけでなく、光強度を見分けている役目を持っているのではないかという指摘を行った。また、このタンパク質が細胞内で働く環境を再現するために、溶液中にポリマーを溶解させ、人工的に巨大分子が混雑する状況を作り、その中での反応が溶液中とどのように変わるかを調べた。その結果、細胞などのように巨大分子が周囲にたくさん存在する環境では10量体の割合が増加し、反応がより効率的に起こることを示すことができた。
|
Research Products
(5 results)