2011 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー・構造揺らぎの時間分解検出法開発と反応機構
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
20107003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺嶋 正秀 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00188674)
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Keywords | 揺らぎ / 生体分子 / 機能 / ダイナミクス / 分子科学 |
Research Abstract |
アナベナセンサリーロドプシンと呼ばれる光センサー蛋白質の機能に関するダイナミクスを、我々の開発した時間分解法で調べた。その結果、信号伝達タンパク質との相互作用を時間分解で観測することに成功し、揺らぎが大きいであろう反応中間体との相互作用について知見を得ることができた。特に、光刺激によって信号伝達タンパク質との相互作用が一旦減少するが、またM中間体の減衰とともに再増加することを示していたことは注目に値する。すなわち、相互作用は過渡的であり、このことが従来の定常的な相互作用検出法では検出できなかった理由と考えられる。この中間体との相互作用変化がなぜ起こっているかはこれからの更なる研究を待たなければならないが、揺らぎが関与している可能性が考えられる。 また、別の青色センサー蛋白質であるオーレオクロムの機能にかかわる反応を調べたところ、光励起によってダイマー化が起こること、この分子間相互作用の増大が、DNAの発現という機能にとって重要であることが明らかとなった。これはまさに機能に揺らぎが重要であることを明確に示した例となった。 光センサーであるPixDの反応を調べた。このタンパク質は暗状態で10量体であるが、それと同時に2量体との平衡になっていること、機能に関係する反応を起こすのは10量体のみであること、さらに10量体のうちで2つのモノマーユニットが光励起されると反応がおこることなど、非常に特異性のある特徴がいくつも見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたよりも多くのタンパク質反応が揺らぎと密接にかかわっている例を示すことができた。さらに、予想していなかったことであるが、こうした揺らぎが光強度センサーとしても重要であることを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、さらに多くの種々のタンパク質反応について、生化学的に重要なタンパク質の生成・精製法を確立し、揺らぎと機能に関係した反応との関わりを示す。また、この関係をさらに詳細に調べるために、圧力変化の実験も行う。
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Research Products
(8 results)