2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜及び人工膜の揺らぎが関与する制がん機能メカニズム
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
20107007
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
上岡 龍一 Sojo University, 生物生命学部, 教授 (70099076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松木 陽子 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (00133562)
後藤 浩一 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (30279377)
田上 修 崇城大学, 生物生命学部, 助教 (10343716)
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Keywords | リポソーム(複合脂質膜) / 癌 / 細胞膜 / 揺らぎ / アポトーシス |
Research Abstract |
ハイブリッドリポソーム(HL)の乳がん治療に関する研究において、次のような新しい知見が得られた.(1)ヒト乳がん(MDA-MB-453)細胞に対するHLのアポトーシスメカニズムの解析から、HLがMDA-MB-453細胞に融合・蓄積後、(A)Fasを活性化する経路、(B)直接ミトコンドリアを通る2つの経路を明確にした。(2)担がんモデルマウスに対するHLの治療実験において、治療開始時の腫瘍容積と変わらず、アポトーシス誘導を伴う顕著な腫瘍抑制効果が明らかになった。(3)正常マウスの2週間反復投与毒性試験において、重篤な副作用を示さず、安全性が明らかになった。患者にやさしい制がん剤としての臨床応用が期待される。(International Journal of Pharmaceutics., 372, 162 (2009).) ハイブリッドリポソーム(HL)を用いたエイズ関連リンパ腫(PEL)に対する膜融合ついて検討したところ、正常末梢血単核球にはほとんど蓄積せず、PEL細胞選択的に蓄積することを明らかにした。また、HL処理によるPEL細胞膜の流動性を検証したところ、経時的な膜流動性の増大を明らかにした。さらに、細胞死について、カスペース活性および細胞膜の縮小を指標に検討した結果、PEL細胞に対するアポトーシス誘導を明確にした。以上の結果より、HLが正常細胞には影響を与えず、PEL細胞にのみ融合蓄積し、細胞膜のゆらぎが増大し、アポトーシスを誘導することが判明した。PELに対する、副作用の無い新しい治療薬の可能性が期待できる。(Biochemical and Biophysical Research Communications, 393, 495 (2010).)
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Research Products
(32 results)