2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜及び人工膜の揺らぎが関与する制がん機能メカニズム
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
20107007
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
上岡 龍一 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (70099076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 浩一 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (30279377)
田上 修 崇城大学, 生物生命学部, 助教 (10343716)
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Keywords | リポソーム(複合脂質膜) / 癌 / 細胞膜 / 揺らぎ / アポトーシス |
Research Abstract |
生体分子の揺らぎと機能は密接な関係にあり、生体膜およびタンパク質の揺らぎを理解することは、生命現象の本質を解明する上できわめて重要である。ナノ粒子の一つである「ハイブリッドリポソーム(HL)」は、正常細胞膜とがん細胞膜の膜流動性(揺らぎ)の違いを見分けることができ、かつ、副作用が少ない新しいがん治療薬としての期待が高まっており、ナノ医療(nanomedicine)を一歩進めたナノ治療(nanotherapy)と位置づけることができる。また、DDS(Drug Delivery System)へ展開する「がん分子標的」という視点からも、抗がん剤の副作用を軽減し、患部への選択性を高める結果が得られている。さらに、HIV-1感染細胞膜は、非感染細胞と比べて細胞膜の揺らぎが大きく、HLは、HIV-1感染細胞に対して、選択的な増殖抑制を示し、「エイズ治療」への展開が期待できる。(揺らぎと機能,Medical Bio10月別冊,(株)オーム社,pp.78-85(2010年)) リン脂質(DMPC)およびPEG系界面活性剤(C_12(EO)_n ; n=21,23,25)から成るHL-nの細胞膜をターゲットとする制がん機構について検討した。HL-nは、種々のがん細胞に対して顕著な細胞増殖抑制効果を示し、アポトーシスを誘導することをin vitroで明らかとした。さらに、HL-nは膜流動性の大きながん細胞に選択的に融合蓄積した。がん細胞膜の流動性とHL-nの制がん効果との間に相関性が認められ、がん細胞膜の揺らぎが制がん効果に寄与することを初めて明らかにした。以上のことより、HL-nのがん細胞膜をターゲットとする新しいがん治療に向けて一般化が期待できる。(ACS Med. Chem. Lett., 2,275-279(2011).
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Research Products
(47 results)