2008 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子および溶媒の構造揺らぎと共役した機能発現過程の理論的解明
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
20107008
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
平田 文男 Institute for Molecular Science, 理論・計算分子科学研究領域, 教授 (90218785)
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Keywords | 生体機能 / 揺らぎ / 3D-RISM / 分子認識 / ダイナミクス |
Research Abstract |
本研究では3次元RISM理論による蛋白質の構造最適化手法を新たに開発し、この方法でミオグロビンの構造を用いてリガンド分子(XeおよびCO)の溶媒和構造をあらわに求め、ミオグロビン内部のリガンド分子吸脱着過程の再現、予測を行った。まずXe溶液中で構造最適化を行い、4個のXeサイト(Xe1, Xe2, Xe3, Xe4)の各々におけるXe分子の分布を理論的に求めることに初めて成功した。 さらに、各Xeサイト内のCO分布を3次元RISM解析より求め、このCO分布の情報に基づきミオグロビンのXe1サイトまたはXe4サイトにCOを結合した二つの複合体構造モデル[Mb : CO(Xe1)およびMb : CO(Xe4)]]を構築し、それらの部分モル容積を求めた。その結果、寺嶋らが実験的に得た部分モル容積変化はXe_4サイトにCOを結合したモデルに対する理論値と良く一致することが明らかになった。これにより、Xe存在下でのCOの吸脱着過程の経路がXe_4サイトであることを立証した。我々はさらに、各Xeサイト内の各種リガンド分子(O_2, H_2S, CO_2, NO)の分布を求め、その結果から各Xeサイトでリガンド分子の親和性に違いがあり、その脱離経路の選択性に大きく寄与していることを明らかにした。
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