2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子および溶媒の構造揺らぎと共役した機能発現過程の理論的解明
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
20107008
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
平田 文男 Institute for Molecular Science, 理論・計算分子科学研究領域, 教授 (90218785)
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Keywords | 3D-RISM / 分子認識 / 蛋白質の揺らぎ / 自由エネルギー / ダイナミクス / 鳥インフルエンザウイルス / M2チャネル / プロトン透過 |
Research Abstract |
鳥インフルエンザウイルスの増殖において需要な役割を演じるM2チャネルのプロトン透過機構を三次元RISM理論に基づき解析した。このチャネルは4個のアルファヘリックスから構成される複合蛋白質であるが、それぞれのヘリックスがもつヒスチジン残基とトリプトファン残基が集まってゲーテイング領域を構成しており、プロトンの透過は4個のヒスチジン残基のプロトン化の度合いによって制御される。本研究ではプロトン化されたヒスチジンの数が0個から4個までのM2チャネルの最適化された構造を水溶液に浸し、3次元RISM理論によりチャネル内の水とプロトン(ヒドロニウムイオン)の分布および平均力ポテンシャルを決定した。その結果、プロトン化されたヒスチジン残基の数が3個の時に、プロトンの透過が最大になることが明らかになった。これらの結果をもとにM2チャネルの透過機構に関する新しいモデルを提案した。(現在、JACS誌に投稿中)
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