2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Emergence of highly elaborated pai-space and its function |
Project/Area Number |
20108003
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村田 靖次郎 Kyoto University, 化学研究所, 教授 (40314273)
|
Keywords | フラーレン / C70 / 水素分子 / 開口フラーレン / 内包フラーレン / 平衡定数 |
Research Abstract |
フラーレンC60よりも内部空間の大きなフラーレンC70に開口部を設け、水素分子を内包させることを行った。すなわち、C70とジピリジルピリダジンとの熱反応により、8員環の開口部を有するC70誘導体を合成した。この8員環開口体に対して、酸素雰囲気下可視光を照射することによって、開口部を12員環に拡大し、開口部の炭素一炭素結合へ硫黄を挿入することによって、開口部を13員環にまで拡大した。この13員環開口体へ高圧の水素ガスを高温下で接触させることによって、1個の水素分子内包体ならびに2個の水素分子内包体を発生させた。2個の水素分子内包体では、内包された水素分子がフラーレン内部においてその位置を交換していることが、低温でのNMR測定により明らかとなった。さらに、水素分子を内包したままで開口部の修復を行うことによって、H2@C70ならびに(H2)2@C70を合成した。続いて、内包された水素分子がフラーレン骨格のπ共役系の反応性に影響を与えるかどうかを調べるために、ジメチルアントラセンとの付加反応における平衡定数の算出を試みた。30,40,50℃において、オルトジクロロベンゼン中での平衡定数を1H NMRの積分値から算出したところ、いずれの場合でも、水素分子が2個内包されたものの方が、1個だけ内包されたものよりも、反応の平衡定数が小さいことが明らかとなった。これは、内包された水素分子がフラーレン骨格のπ電子を僅かに外側へ押し出している効果によるものと考えられる。
|
-
-
-
[Journal Article] Demonstration of a Chemical Transformation Inside a Fullerene. The Reversible Conversion of th e Allotropes of H2@C602008
Author(s)
Tun-o, N. J. ; Marti, A. A. ; Chen, J. Y.-C. ; Jockusch, S. ; Lawler, R. G. ; Ruzzi, M. ; Satori, E. ; Chuang, S.-C. ; Komatsu, K. ; Murata, Y.
-
Journal Title
J. Am. Chem. Soc 130
Pages: 10506-10507
Peer Reviewed
-