2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Emergence of highly elaborated pai-space and its function |
Project/Area Number |
20108005
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
櫻井 英博 Institute for Molecular Science, 分子スケールナノサイエンスセンター, 准教授 (00262147)
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Keywords | パラジウムクラスター / カップ構造 / C3対称キラリティ / 3次元キラルπ空間 |
Research Abstract |
本研究は、フラーレン部分骨格やナノチューブの先端構造に相当するお椀型π電子系化合物「バッキーボウル」を足がかりとした、精密有機合成の手法を駆使したカーボンπ空間の構築法の確立を目指している。これまで提案・実現してきたバッキーボウル分子の革新的な合成戦略を更に推進し、多種多様なπ曲面を有するバッキーボウルを自在に合成する。同時に、バッキーボウルをモジュール分子として高次に組み合わせることにより、原子レベルでの精密且つ高効率なカーボンπ空間構築法を開拓する。 今年度は、2007年に我々によって開発された、パラジウムナノクラスターを触媒とするハロアルケンの環化三量化反応を用い、剛直なカップ構造を有するノルボルナジエン三量化体の不斉合成、およびそれから誘導される、様々なヘリカルなC3対称キラリティを有する3次元π系化合物の合成研究を行った。その結果、共通中間体となるトリストリフラート体を安定に単離、生成する事に成功し、さらにそこからTamao-Kumadaカップリング反応、Sonogashirカップリング反応、Pd触媒によるシアノ化反応などを利用して, 様々なπ系化合物へ誘導できる事を明らかにした。これら一連の化合物は、期待した通りヘリカルな3次元構造を有しており、また非常に剛直な構造であるため、これまでとは異なったアプローチでの3次元キラルπ空間を創出することができる。一方で, Suzuki-Miyauraカップリング反応やStilleカップリング反応に対しては不活性であり、次年度以後の課題として残された。
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Research Products
(2 results)