2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Emergence of highly elaborated pai-space and its function |
Project/Area Number |
20108005
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
櫻井 英博 Institute for Molecular Science, 分子スケールナノサイエンスセンター, 准教授 (00262147)
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Keywords | スマネン / メタセシス反応 / キラリティ / ボウル反転 / 光学分割 |
Research Abstract |
本研究は、フラーレン部分骨格やナノチューブの先端構造に相当する、お椀型π電子系化合物「バッキーボウル」を足がかりとした、精密有機合成の手法を駆使したカーボンπ空間の構築法の確立を目指している。これまで提案・実現してきたバッキーボウル分子の革新的な合成戦略を更に推進し、多種多様なπ曲面を有するバッキーボウルを自在に合成する。同時に、バッキーボウルをモジュール分子として高次に組み合わせることにより、原子レベルでの精密且つ高効率なカーボンπ空間構築法を開拓する。 今年度は、C_3対称バッキーボウルの一般合成法の完成を目指し、その第1段階として、官能基化スマネンの合成の検討を行った。一般には官能基化スマネンの場合、スマネン合成経路のうち、タンデムオレフィンメタセシス反応の段階が、立体的・電子的影響を受けやすいため、スマネン合成経路をそのまま用いることができなかった。しかし、ヒドロキシメチル基を用いた場合に対応するメタセシス反応が進行することを見出し、これを利用して、初めてC_3対称に揃ったヒドロキシメチル基、ホルミル基といった官能基を導入することに成功した。これにより、C_3対称バッキーボウルの一般合成法の完成に目処が立ったと言える。また、これらC_3対称バッキーボウルのキラルHPLCカラムによる光学分割にも成功した。キラルバッキーボウルは、そのラセミ化過程をCDスペクトルで追跡することで、そのボウル反転障壁を正確に測定することが可能となるため、本技術の開発により、バッキーボウルの動的挙動と構造との相関に関する研究が進展するものと期待される。
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Research Products
(5 results)