2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Emergence of highly elaborated pai-space and its function |
Project/Area Number |
20108005
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
櫻井 英博 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 准教授 (00262147)
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Keywords | スマネン / 官能化バッキーボウル / C3対称 / フェノール / 光学分割 |
Research Abstract |
本研究は、フラーレン部分骨格やナノチューブの先端構造に相当する、お椀型π電子系化合物「バッキーボウル」を足がかりとした、精密有機合成の手法を駆使したカーボンπ空間の構築法の確立を目指している。これまで提案・実現してきたバッキーボウル分子の革新的な合成戦略を更に推進し、多種多様なπ曲面を有するバッキーボウルを自在に合成する。同時に、バッキーボウルをモジュール分子として高次に組み合わせることにより、原子レベルでの精密且つ高効率なカーボンπ空間構築法を開拓する。 今年度は、C_3対称バッキーボウルの一般合成法の完成形として官能基化スマネンの合成を行った。前年度までにスマネン骨格にC_3対称性を保持したままホルミル基を導入することに成功していたが、今年度はその合成法を確立すると同時に、バイヤービリヤー型の反応を改良し、最終的にヒドロキシ基への変換を可能にした。フェノール性ヒドロキシ基は、様々な官能基に変換可能であり、更にオルト位への官能基導入も可能であることから、本手法の確立により、一応C_3対称バッキーボウルの一般合成法の完成をみたと言える。合成したトリヒドロキシスマネンは、フェノール性ヒドロキシ基を有するにもかかわらず酸化電位がスマネンより高く酸化されにくい性質を持つことや、またキラルHPLCにおいて温度およびボウル反転によるラセミ化過程に由来する独特な挙動を示すことが明らかになってきており、次年度以後に詳細な検討を行う予定である。
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Research Products
(8 results)