2009 Fiscal Year Annual Research Report
自己集合性ポルフィリンによる高次π空間の創出と機能性π複合体の構築
Project Area | Emergence of highly elaborated pai-space and its function |
Project/Area Number |
20108009
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷 文都 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 准教授 (80281195)
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Keywords | ポルフィリン / フラーレン / π空間 / ナノチューブ / 電荷分離 / 電荷移動度 / 自己集合 / 超分子 |
Research Abstract |
本研究では、自己集合性のポルフィリンが与える高次のπ空間にフラーレンなどのπ系分子を包接・配列させることによって、新規の機能性π複合体を構築することを目的としている。 1) 自己集合性ポルフィリンへのフラーレン類の包接 これまで用いてきたニッケルポルフィリン二量体の他に対応するフリーベースポルフィリンの二量体を用いると、その自己集合により、同様のポルフィリンナノチューブが形成されることをX線結晶構造解析により確認した。また、溶液中および結晶中において、フラーレンC_<60>がフリーベースポルフィリン二量体に包接されることを確認し、特に結晶中では、ポルフィリンナノチューブ構造の代わりに、フラーレンC_<60>がお互いにファンデルワールス接触をしながら、ジグザグ型に配列することを明らかにした。 2) π複合体の光化学ダイナミクス フリーベースポルフィリン二量体・フラーレンC_<60>のπ複合体の結晶性粉末について、高速分光法である過渡吸収スペクトルを用いて、光励起状態の挙動を調べた。その結果、ポルフィリンからフラーレンC_<60>への光誘起電子移動が起き、数百ピコ秒の寿命を有する電荷分離状態が生成することを確認した。 3) 電荷キャリアの移動プロセスの解析 フリーベースポルフィリン二量体・フラーレンC_<60>のπ複合体の単結晶を時間分解マイクロ波伝導度測定に供して、電荷キャリア移動度を測定し、フラーレンのジグザグ配列に沿って、高い電荷移動度を示すことを確認した。
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