2010 Fiscal Year Annual Research Report
走査型プローブ顕微鏡による高次π空間系分子の精密電子物性計測と電子機能の発現
Project Area | Emergence of highly elaborated pai-space and its function |
Project/Area Number |
20108011
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
真島 豊 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (40293071)
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Keywords | π空間系分子 / 走査型トンネル顕微鏡(STM) / 走査型トンネルスペクトロスコピー(STS) / 分子修飾金属内包フラーレン / 分子配向スイッチ / 負性微分抵抗 |
Research Abstract |
本学術領域研究で合成される高次に組織化されたπ空間系分子を走査型トンネル顕微鏡(STM)により分子分解能で観察し、走査型トンネルスペクトロスコピー(STS)により分子内コンダクタンスを精密に計測することにより、π空間系分子の新しい電子機能を明らかにすることを目的としている。また、無電解めっきを用いて作製したギャップ長5nmのナノギャップ電極に、π空間系分子を埋め込んだ分子デバイスを作製することを目的としている。本年度は、分子分解能走査型トンネル顕微鏡(STM)像から、アルカンチオール自己組織化単分子膜(SAM)上に物理吸着した単一金属内包フラーレン分子の最高被占有分子軌道(HOMO)、最低未占有分子軌道(LUMO)を反映したSTM像を観察し、DFT計算の結果と比較することにより、分子の配向状態を決定できることを明らかにした。さらに、新たな電子材料としての応用が期待される14個のπ電子に起因した芳香族化合物であるトリベンゾサブポルフィンについて、ホウ素上にアルキル基を置換したトリベンゾサブポルフィンを京都大学大須賀研究室にて合成して頂き、分子分解能STM/STSを用いて分子配向およびエネルギー準位の評価を行った。その結果、トリベンゾサブポルフィン誘導体の分子分解能STM像において、HOMO-1の分子軌道を観測した。また、トリベンゾサブポルフィン誘導体がSTM Tip先端についた状態で、基板上のトリベンゾサブポルフィン誘導体のSTS測定をしたところ、2つの分子軌道間で分子共鳴トンネルダイオードが形成され、負性微分抵抗現象が観察されることを明らかにした。
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