2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Emergence of highly elaborated pai-space and its function |
Project/Area Number |
20108016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中津 亨 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (50293949)
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Keywords | ルシフェラーゼ / 発光反応 / X線結晶構造解析 / ルシフェリン / オキシルシフェリン / 励起状態 / 量子収率 |
Research Abstract |
ホタルによる黄緑色の発光は、酵素であるルシフェラーゼの中で発光基質ルシフェリンとATP、酸素が反応し、励起状態のオキシルシフェリンが生成し、基底状態に戻るときに生じる。この発光色は不思議なことに酵素であるルシフェラーゼのわずか1アミノ酸を変化させるだけで赤色に変化する。この仕組みを詳細に検討するためには野生型のルシフェラーゼ以外に特徴を持った発光色変異体の研究を併せて行うが必要となる。 そこで様々な変異体を作成しその性質を調べたところ2つの興味深い発光色変異体を得ることができた。(1)Y257R変異体は発光色が橙色でその発光スペクトルは595nm付近にピークが1つのものであった。これまでに得られていたゲンジボタル由来ルシフェラーゼの橙色発光変異体は赤色と黄緑色の2ヶ所にスペクトルのピークが存在するものであったため、本当に橙色をメインとして発光する変異体であることから、発光の状態を研究する上では重要である。さらにpHの変化によって発光色が変わらず、ゲンジボタル由来では初めて得られたpH非感受性のルシフェラーゼである。(2)N231A変異体は赤色発光変異体であるが、構造解析を行った結果、野生型の黄緑色発光ルシフェラーゼにおいて生じる構造変化が観測された。この構造変化は黄緑色発光には必須であり、赤色発光で構造変化が捕らえられたのは初めてである。 またG326S赤色発光変異体の構造解析も行い、他の赤色発光変異体と同様に構造変化が生じていなかった。G326の位置は活性部位から離れたところにあり、わずかなアミノ酸の違いによる環境の変化が、活性部位付近の動きに影響していることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)