2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Emergence of highly elaborated pai-space and its function |
Project/Area Number |
20108016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中津 亨 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (50293949)
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Keywords | ルシフェラーゼ / 発光反応 / X線結晶構造解析 / ルシフェリン / オキシルシフェリン / 励起状態 |
Research Abstract |
ホタルによる黄緑色の発光は、酵素であるルシフェラーゼの中で発光基質ルシフェリンとATP、酸素が反応し、励起状態のオキシルシフェリンが生成し、基底状態に戻るときに生じる。この発光色は不思議なことに酵素であるルシフェラーゼのわずか1アミノ酸を変化させるだけで赤色に変化する。この仕組みを詳細に検討するためには野生型のルシフェラーゼ以外に特徴を持った発光色変異体の研究を併せて行うが必要となる。 最近この発光色を決定する要因としてオキシルシフェリンのベンゾチアゾール基の6位が脱プロトン化され、さらには水素結合の重要性が示唆されている。しかしこの部分は立体構造から直接ルシフェラーゼのアミノ酸が水素結合しておらず、水を介した水素結合が生じていることがわかっている。この結合に関わっているN231についてAla,Aspへ変異させ、そのスペクトルと立体構造を決定し比較した。その結果、発光スペクトルはほとんど同じスペグトルを示し、立体構造も野生型でオキシルシフェリンとの水素結合に関わっている水分子が2つ観測されなかった。Ala,Aspという全く異なる性質のアミノ酸に変化させているにも関わらず、発光色が変化しなかったことを考えると、rオキシルシフェリンとの水素結合ネットワークが発光色に重要であることが示唆された。またR220A変異体についても発光スペクトルはN231変異体と同じであった。また構造解析の結果、場所はN231変異体とは異なるものの2つの水分子が観測されなかった。このことから水素結合ネットワークは黄緑色発光には必要不可欠な構造であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的はルシフェラーゼがどのようにして発光反応させる空間を制御しているのかを立体構造的に明らかにすることである。そこで発光色を変化させる変異体を作成しその立体構造と発光色の関係性を明らかにした。この結果から発光色を変化させる、すなわち本来の黄緑色に発光させるために必要な機構について明らかにすることが立体構造の観点から示唆できた。
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Strategy for Future Research Activity |
より詳細な発光に関する情報を得るためには、スペクトルの詳細な成分解析および量子収率を求めていく必要がある。すでに野生型では発光スペクトルは3成分から成り立ち、量子収率は約41%であることが知られている。そこで構造と発光色の関係を明らかにした変異体について詳細がわかれば、より詳細な制御機構が明らかにできると予想される。しかしながら立体構造からはある平均の構造もしくはある特定のスペクトルを示す構造しか得られないと推測されるため、理論計算により構造とスペクトルの関係性を明らかにできないかを探る必要がある。
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Research Products
(4 results)