2008 Fiscal Year Annual Research Report
π電子系の関与する生体エネルギー変換過程の理論とシミュレーション
Project Area | Emergence of highly elaborated pai-space and its function |
Project/Area Number |
20108017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安藤 耕司 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (90281641)
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Keywords | 電子移動 / プロトンポンプ / エネルギー変換 / 量子動力学 / 生体分子 |
Research Abstract |
波束の中心と幅の自由度が可変であるようなガウス型電子波束を用いて化学結合を記述する新理論を開発した。これにより、電子と原子核をコンシステントに扱った大規模分子動力学シミュレーションを実現することを目標とする。プロトン移動反応や水素結合構造を記述するために近年開発してきた準量子的時間依存ハートリー法を拡張し、多電子波動関数の反対称性を取り入れるために、非直交原子価結合法のアイデアを活用した。非直交軌道に由来する計算コストの問題、すなわち、行列要素数が電子数の階乗で増大する問題を回避するために、新たに分離電子対近似と有効内殻擬ポテンシャルの開発を行った。分離電子対近似の検討の結果、核物理やプラズマ物理の分野で従来利用されてきたフェルミオン分子動力学法におけるパウリポテンシャルについて、より正確な理論的基礎付け及び改良の指針を得た。最初の応用として、水素化リチウムのポテンシャルエネルギー曲線に関する数値計算では、一電子当り浮動ガウス波束一個の最小基底であるにも関らず、電子相関効果を取り入れた高精度の非経験的分子軌道計算に遜色ない結果が得られた。
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