2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Project TAIGA: Trans-crustal Advection and In-situ biogeochemical processes of Global sub-seafloor Aquifer |
Project/Area Number |
20109002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沖野 郷子 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (30313191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 伸和 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30270862)
篠原 雅尚 東京大学, 地震研究所, 教授 (90242172)
佐藤 暢 専修大学, 経営学部, 准教授 (50365847)
海野 進 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (30192511)
野木 義史 国立極地研究所, 研究教育系, 教授 (90280536)
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Keywords | 地殻マントル物質 / 地球観測 / 地質学 / 熱水 / 中央海嶺 / 背弧海盆 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究では、固体地球と海洋境界部の現象を支配する海底下の流れ「海底下の大河」(以下「大河」)を解明するという領域全体の目標の中で、大河の流れている場の環境の地学的特徴(テクトニックセッティング)がいかに大河の水(流体の物理・化学特性)や河口(熱水噴出孔)の様式を支配するかを観測に基づいて解明することを目的とする。今年度は、以下の新たな観測及び過年度に得られたデータの解析を行った。 (1) 南部マリアナ熱水域(イオウの大河)の研究:一昨年度に自律型海中探査機を利用して得られた精密な地形・地磁気データの解析を元に熱水域に特有の微地形があることを明らかにするとともに、熱水循環による磁化の減少が生じていること、さらに磁化減少域が海嶺軸部と軸から離れた場所で広さがまったく異なることを示した。また、昨年度後半に実施した地震計・海底電位差磁力計による観測データを解析し、地震波速度構造、微小地震分布、電気伝導度構造を明らかにした。観測期間中に自然地震がほとんど検知されず、他の熱水系とは異なる様相であることが示された。 (2) インド洋海嶺三重点熱水域(水素の大河)の研究:インド洋Kairei熱水フィールドにおける地震計・海底地震計観測を23年度に予定していたが、東日本太平洋沖地震発生後の放射能調査等に観測船が利用されたため航海が24年度末に延期された。この観測に関わる経費の繰越申請を行い、24年度末に観測を実施した。過年度に実施した同海域の浅部構造の探査結果の解析を進めた。 (3) 沖縄トラフ熱水域(メタンの大河)の研究:沖縄トラフ第4与那国海丘熱水系の自律型探査機による調査に参画したが、荒天のため予定の観測はできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
繰越事由にある通り、当初23年度なかばで実施予定であったインド洋の深部地下構造観測が、東日本太平洋沖地震後の放射能調査等に観測船が利用されたため延期を余儀なくされた。当該観測にかかる経費は繰越を行い、観測は24年度にほぼ計画通り実施できたが、観測が24年度末にスケジュールされたために、年度内の解析があまりできず、解析に遅れが生じている。マリアナ海域については、観測結果の解析がほぼ順調に進み、国際誌への投稿、修士論文への反映などが行われた。
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Strategy for Future Research Activity |
観測計画の遅延により生じているインド洋海域のデータ解析を加速させ、最終年度には各海域の熱水域について、浅部構造(地形、地質、磁化構造)と深部構造(地震波構造、電気伝導度構造)をそれぞれ明らかにし、熱水系の熱源、循環範囲、断層や火成活動との関係について議論していく。
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