2010 Fiscal Year Annual Research Report
「海底下の大河」における物理・化学環境と微生物活動の相互作用:現場環境での素過程
Project Area | Project TAIGA: Trans-crustal Advection and In-situ biogeochemical processes of Global sub-seafloor Aquifer |
Project/Area Number |
20109005
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
高井 研 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, プログラムディレクター (80359166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 嘉夫 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10304396)
山中 寿郎 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (60343331)
土岐 知弘 琉球大学, 理学部, 助教 (50396925)
中川 聡 北海道大学, 水産科学研究院, 准教授 (70435832)
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Keywords | 熱水循環 / 海底下の大河 / 酸化還元状態 / 生物地球化学 / 素過程 |
Research Abstract |
本研究の目的は、典型的な「海底下の大河」(以下「大河」)における様々な段階・領域の物理・化学環境と微生物活動の相互作用を解き明かし、生物地球エネルギー・物質循環の全体像を紐解く鍵を与えると共に、熱水循環場の時空間的な拡がりや変遷過程の理解の中心的基礎を築くことである。 平成22年度には、「小型海底掘削プラットフォームBMS」を用いた南部マリアナ「イオウの大河」の掘削航海(2010年6月)、引き続き南部マリアナ「イオウの大河」の掘削孔を利用した(微)生物-物理化学因子の相互作用についての調査航海(2009年8月、10月)が行われた。2010年9-10月には、地球深部掘削船「ちきゅう」によるIODP沖縄トラフの「メタンの大河」の下流域における(微)生物-物理化学因子の相互作用についての掘削調査航海(2010年9-10月)が行われた。沖縄トラフの「メタンの大河」1については、これまでの熱水域やその周辺部の調査航海やその研究の成果として、「沖縄トラフ熱水中に含まれるメタンが、熱水近傍の熱水循環系において、有機物の熱分解や好熱性メタン菌による微生物活動によって生成されたものではなく、むしろ熱水活動域から数10kmも遠く離れたトラフ堆積物の深部で微生物共栄養によって生成されたものであり、そのメタンが全大河流域での微生物や生物の活動の重要なエネルギー・炭素源となっている」という全く新しい「広域的な海底下の大河」構造モデルを論文として発表するに至った。そのモデルを検証するために行われた掘削航海の成果によって、沖縄トラフにおける「海底下の大河」の下流域において、「巨大な海底下熱水湖が形成され、気液二相分離に伴う熱水密度成層構造が形成される」という画期的な成果が得られたと同時に、「メタンの大河」の下流域では「メタン」を供給する化学・微生物学的素過程ではなく、「メタン」を利用する側面の化学・微生物学的素過程が卓越していることが明らかとなった。
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Research Products
(22 results)