2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Emergent Chemistry of Nano-scale Molecular System |
Project/Area Number |
20111007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 誠 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90209065)
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Project Period (FY) |
2008-11-13 – 2013-03-31
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Keywords | 自己組織化 / 有機金属錯体 / 共有結合 / 創発化学 / 遷移金属 / パラジウム |
Research Abstract |
構成する個々の成分のわずかな違いが、その違いの単純な積算としては類推できないような系全体としての違いに現れる現象が創発現象である。本研究では、このような創発現象を化学の分野で探索し、このような発想のもと、新しい化学分野を構築することをめざしてきている。本研究課題では、平面四配位性のパラジウム(II)イオン(M : metal ion)と、折れ曲がった二座配位子(L : ligand)とが錯形成する反応系における創発現象を探求してきている。全ての配位結合が生成して閉じた球状の錯体が構築されると、M_nL_<2n>(n=6,12,24,30,60)組成の錯体が得られると予測され、幾何学的な構造から、折れ曲がり角度が小さいとnの数は小さくなると考えられる。これまでに、折れ曲がり角度が127度の場合にはM_<12>L_<24>組成の錯体が得られ、149度の場合にはM_<24>L_<48>組成の錯体が得られることがわかっているが、何度を境に構造がn=12から24へと切り替わるのか予測する方法はなかった。そこで、これらの配位子を混合して、平均の折れ曲がり角度を調整することで、131~134度程度を境に組成が切り替わると予測した。今年度、複素環式化合物を駆使して新たに130,134度の折れ曲がり角度を持つ配位子を合成し、生成物の構造決定を行った。その結果、134度以上の角度を持つ配位子をパラジウム(II)イオンと自己組織化するとM_<24>L_<48>錯体が得られることがわかった。また、130度以下の配位子を使うとM_<12>L_<24>錯体が得られることがわかった。出発物質の折れ曲がり角度という、わずかな構造の違いが、数十成分の自己組織化の生成物の骨格構造を劇的に制御する創発化学において、経験予測をたった4度の角度の違いを利用して精密に実証することができた。
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Research Products
(2 results)